先になったり,後になったり
ひたすら一本道を歩きます。伊予西条駅から伊予三島駅まで約35km,前日に再開した彼とは先になったり,後になったりしながら何度も出会いました。
前を歩いている彼が休んでいるところをわたしが通り過ぎ,声をかけます。また,わたしが休んでいるときに,彼がとおりざま声をかけてくれました。
すれ違ったときに話はしますが,いっしょに歩くことはしません。歩くのはひとりでないとどうしてもストレスになってしまいます。
「今日は,どこまで行くの?」
「まだ決めてません。歩けるところまで歩いて」
彼は若いけれども度胸があります。野宿してもいいという覚悟で歩いているようです。昨日も,コンビニを出た後,目の前にあるビジネスホテルに電話で交渉していました。わたしは気が小さいので,そういう行き当たりばったりができません。前日には宿を決めてないと安心できないのです。
今日の宿も伊予三島にとってありました。
「わたしは,伊予三島まで。今度のへんろは三島で終わろうと思っています」
わたしはそう言いました。彼はちょっと残念そうなそぶりをしました。ポーズだけだったかもしれませんが・・・。
「三度目,どこかで会えるといいね。三度も会えたら,もう奇跡だよ」
そう言って別れました。
国道11号線トピックス,3つ
国道11号線(ときどき旧街道)をひたすら歩きます。札所はありません。朝,4時半から歩き始めました。
9時ごろには今日の予定の半分以上,17.8kmを歩いたと思います。早朝は涼しくて気持ちよく歩けます。朝は雨もすっかりあがっていました。さらに,今年はずっと曇り空なので,日が昇ってからも暑さに苦しむことはありませんでした。
膝の痛みは残っていましたが,急坂や悪路はないので快調に歩けました。途中,またもや雨が降ってきてびっくりしましたが,本降りや長雨になる気配はありませんでした。
<トピックス その1>
真っ赤な三輪車とすれ違いました。かわいらしい車体を認知,素早くカメラを取り出して撮影しました。何というメーカの何というクルマなんでしょうか。こういう粋なクルマを所有してみたいものです。
<トピックス その2>
バス停の名前が「坂ノ下」でした。でも,実際はどう見ても坂のてっぺん。何で「坂の下」なんでしょう。ひょっとして「さかのした」という読み方が違っているのかもしれないと思いましたが,ほかには読み方が想像できません。
<トピックス その3>
歩道の段差が歩きにくくて,弱っている足や膝には大きな負担になります。車道に盛り土をして高く造ってある歩道は,家の入口や道路が交差するところでは,車道と同じ高さにけずってあります。そのため,高くなったり低くなったり・・・・・・。家や店舗が続くところでは,波のようにうねってあるかなければなりません。
元気なとき,短い距離を歩くときならばきにならないかもしれませんが,このときのわたしには大きな負担でした。
そもそも,歩道を車道より一段高くする意味はあるのでしょうか。最近の歩道は,車道と縁石だけで区分けしていて,わざわざ高くはしてないところが多いように思いますが,どうなんでしょうか。
宿をキャンセルして,急遽帰宅
11時,伊予三島駅からおよそ10km手前,伊予土居駅を過ぎたところで,宿に連絡を入れて,今日の宿泊をキャンセルしました。こんなに順調に歩けるとは思っていなかったので,今日は何とか伊予三島までたどりついてゆっくりして,翌日遊びながら帰るというのが当初の予定でした。
残り10kmになれば,ほぼ正確に到着時間は予想できます。2時前にはつけるだろうと思うと,6,000円物宿賃を払って,1日余分に過ごすのがもったいなく思えてきました。
これは貧乏性のわたしのどうしようもないところです。へんろをしているとこの性格が欠点だということがはっきりしてきました。
湯浪の休憩所で野宿をしていたおへんろさんは,
「こんな気持ちのいいところはない。もう一日泊まって,ここにいようかなあ」
そういう成り行き任せのおへんろがわたしにはできません。急ぐのもゆっくりするのも自由自在,そんなへんろに憧れはしますが,実行できません。いつも,もったいないという強迫観念に縛られてしまいます。
伊予三島駅に着いたのが13:40でした。
本日の歩行距離 35.1km
今回のへんろ全歩行距離 240.1km
13:52 伊予三島駅発 しおかぜ18号
15:11 岡山駅発 のぞみ38号
17:52 名古屋駅着