7月25日(土)79番〜83番 五色台攻略。県道で高松市へ。


痛電・・・関西では流行っているのか


 4日後,南海電車の天下茶屋駅でもキャラ電を見ました。「SEMBOKU」というロゴとともに制服を着た等身大の女の子が描かれていました。

  ここで見たのは何が描かれているのか分からないぐらい派手な絵柄でした。

 JR予讃線八十場駅付近の踏切です。

 あわててとったから,ピンとが自分の影にあってしまっています。






5人のおへんろさん

  まだ6時半,納経所が開く前です。早く着きすぎました。 

 79番「天皇寺」は,腰をおろして休めるところがなくてちょっと困りました。

 参りを済ませて朝食のパンをかじっていたら,おへんろさんが5人やって来ました。岡山から毎週土曜日だけクルマで来ているそうです。5人で声を合わせて調子よく読経されました。

「歩いて回ってるの? たいへんだね。マメはいくつ作った?」

 いきなりマメについて聞かれ,戸惑いました。歩くといえばマメなんでしょうか。

「できるたびにつぶしてるから,・・・」

 わたしは,マメはつぶす主義です。つぶせばさほど痛くありません。

「ここまでくるのに何日かかった? ○○寺の副住職は29日で回ったそうだ。夜も歩くそうだよ」

「山門を出たら、太陽を背にしてまっすぐだよ」

 次の札所への道をそう教えてくれました。素敵ないい方でした。


79番から81番へ


 79番→81番→82番→80番の順に打つ人も多いそうです。わたしも今回はこのルートで行くことにしました。80番を先に行くと遠回りになるので,距離的には今回のルートの方が短いということがわかりました。

 ただ,23日に泊まったほ志川旅館のおかみさんが言った「2回のぼるのが嫌だから」という意味が分かりませんでした。

  白峰パ−クウェイという整備された車道を上っていくと見晴らしのいいところに出ました。

 田んぼと小山の緑が鮮やかです。遠くには坂出の街と瀬戸大橋が見えました。

 あと1kmのところで,車道から別れて階段の参道になります。

 長く続く階段で,見上げても先が分かりません。数えてみたら371段ありました。

 印象的には弥谷寺の540段より多かったと感じましたが,ここが連続した階段だったからでしょうか。 

 お寺さんは本当に階段が好きです。「着いた!」と思って気を許すと,目の前にそれまで異常過酷な階段が,・・・。そんなことが何回もありました。


上って下って,上る


 81番から82番までは山の中のへんろ道です。アップダウンがあるのでパワーがいりますが,歩きにくい道ではありません。ほとんど木陰で,涼しいのが何よりです。

  でも今日はところどころ荒れていました。

 雨水を含んでどろんこ道になってしまっているところがあって,歩くのに面倒でした。

 

もぐらのせい?

 

 それは,もぐらのせいじゃないかと思いました。

 もぐらが掘り返して進んで行ったあともたくさんありました。

 もぐらがさんざん掘り返して軟らかくなった土に雨が降るとどろんこ状態になってしまうのではないでしょうか。

「そうかもしれないね。もぐらか・・・,そうとうたくさんいるな」

 後日いっしょになったおへんろさんに,その話をしたら同意してくれました。


 でも,後にいろんな見聞を経て思ったのは,あれはイノシシじゃないか,イノシシが掘り返したあとじゃないかという意見にも与したくなりました。

 果たして事実はどこにあるのでしょうか。

 

すれ違った中学生の団体

 

 遠くから異様な叫び声が聞こえてきました。

「イェ,イェ,イェ〜」「オウ,オウ,ウウウオオ」

  うまく言葉にできません。獣が吠えているのかとも思いました。

 あるいは,特異な宗教団体の修行か。姿が見えないうちは,ちょっと不安にもなりました。

 実態は中学生でした。60〜70人ぐらいでしょうか,先生とおぼしき大人が数人で引率して坂を下りてきました。異様な吠え声が一段と大きくなりました。

 何でこんな異様な声を出しながら歩いているんだろう,中学校って怪しげな宗教団体とそう変わらないな,そんなことを思いました。

「1年生ですよ」

 先生がそうおっしゃいました。鉄の熱いうちに洗脳しようという方針なんでしょうか。あとで気がつきましたが,女の子がいませんでした。

 

禅喝破道場

 

 根香寺の近くにある禅喝破道場って何だろうと以前から思っていて,納経所のおじさんに聞いてみました。

「学校行けなくなった子や非行・問題行動の子が合宿しているところのようですよ。門前にある休憩所もあそこの道場がつくったものです」

 冷やしたハーブティが置いてありました。飴やお菓子もその横に用意してあります。

 小屋のなかにもいろいろなお接待があり,横になるスペースもありました。

 子どもたちが描いた絵や詩もありました。


県道を下る(82番から80番へ) 

 もぐらドロドロ道を避けました。

 根香寺から十九丁までの山道(中学生とすれ違った道)を戻るのが正式ルートのようですが,並行している県道を下ることにしました。

 それでも途中から1kmほど急な下り山道になります。 

  見晴らしのいいところから見ると,讃岐の小山と国分寺駅周辺の街が霞んで見えました。

 前回は朝日の中,下から上ってきてここに立ったので,景色がくっきり見えました。

 今回は、午後の日差しで逆光になってしまいました。


笠が壊れた


 80番「国分寺」を打ってしばらくしたら笠が壊れてしまいました。笠と頭を支える輪っかの部分を繋ぐ針金が切れて,ぶらぶらと笠が垂れ下がるようになってしまいました。

 午後2時の炎天下です。笠なしでは歩けません。 真後ろから日差しが当たり,首筋から後頭部を直撃です。数分で頭がクラクラしてきます。

 この日はこの後14km,4時間の里程が控えていました。何としても修復させなければなりません。

 とりあえずは,金剛杖のカバーに使ってあった紐を使って留めました。

 10年前,へんろをはじめたときから使っている笠です。もう限界かもしれない。そう思ったとき,さっきの国分寺で「へんろ用品」を売っていたのを思い出しました。その時は,何となしに見ていただけですが,こういうのを「後の祭り」というのでしょうか。

  笠を直してしばらくはよかったのですが,歩いていると縛った紐が緩んできてしまいます。

 ゆるゆる,ぐらぐらになった笠は,頭でバランスをとって歩かなければなりません。

 休憩の時に締め直しますが,また緩んでしまいます。

 ゴム紐でないとダメだな、そう思いました。


ゴム紐を売っていない


 真っ青な空,ますます日差しがきつくなってきます。コンビニにゴム紐(いわゆるパンツのゴム)があるかもしれないと思いましたが,コンビニでは売っていませんでした。

  大型薬局にもありませんでした。今時はパンツのゴムを入れ替えて大事に穿く人なんていないのでしょうか。

 結局,3店目に入ったコンビニで,髪留めのゴムを買って,それを切って縛りました。

 この発想はなかなか良かったらしく,笠が頼もしく復活しました。


暑さでバテました。


 83番「一宮寺」に着いたときはもうへろへろ状態,完全に暑さにやられていました。1kmほど手前のコンビニでアイスクリーム休憩をとって体を冷やしたのですが,それからのたった1kmで大きなダメージを受けました。

  手水舎で頭から水をかぶりました。無礼な振る舞いかとも思いましたが,背に腹は代えられない状態でした。

 首筋,得に後頭部を水に浸すと少しは落ち着き,しばらくは本堂の階段に座ってぼうっとしていました。

 危険レベルのちょっと手前だったかもしれません。


風が出てくると


 一宮寺から宿まではおよそ5kmでした。1時間余はバテた体には大きな仕事でしたが,意外に楽に歩けました。日が傾き,日差しが少し弱くなったのも楽になった要因でしたが,何といっても大きかったのは風です。

 風が吹くのと吹かないのとで大違い,風が体に付いた熱を上手に奪っていってくれました。