４０番観自在寺とHONDAＸ４
　 

　今までの反省を生かして，朝食をしっかり食べて出立。３０分で４０番観自在寺に着いた。門前でホンダX4に乗って回っているへんろさんに会った。
「X4ですか。スタイルが好きなんですよ，わたし。わたしもバイクが好きでCBに乗っています。」

「これ，高速はだめですよ。のびないですね。１１０，１２０，１３０･･････って，数えられるぐらい。ゆっくりメーターが上がっていきますよ。へんろも不向き。特に寺周りの道が大変です。細いつづら折りの道なんかエンストしそうで怖かったですよ。２５０ぐらいのオフロードバイクの方がいいですね。でも，足摺の道路は気持ちよかったですよ。」
ああ，またバイクが恋しくなってしまった。

柳水大師と清水大師

  　観自在寺の納経所の人に聞いた。
「この先の峠はきついですか？」
「松尾峠よりはきついですよ。」
そうか，松尾よりきついか。ゆっくり行こう。１歩１歩行こう。味わいながら登ることが大切，誰かと競争している訳じゃない，昨日の反省を自分に言い聞かせた。

　たしかにきつかった。峠の入り口から柳水大師まで，ゆっくりゆっくり何度も休憩しながら登った。昨日とは違って焦らない。１歩１歩でも必ず進んでいくし，山をあがっていく。休めば体は回復し元気になる。そのくり返しである。いつかは着く。
　四阿に入れば日陰で気持ちがいいが，やっぱり蚊が寄ってくる。おにぎりを食べるが，つばが出ない。脱水症状だろうか。（体全体がヒートアップしている感じがする。）

お大師様
 　

 　下りも思ったより長く大変だった。体は大丈夫だが，下りは足にくる。ほとんど降りきったところにまた四阿があったので休憩。涼しかったがやっぱり蚊が。おにぎりをまた食べたが，案の定つばが出ないので水で流し込んだ。水がほとんどなかったが，自動車の排気音が聞こえていたので安心していた。すぐ国道だ，ということは少し歩けば飲料水の自販機ぐらいあるだろう，と。水をほんの少しだけ残しておいた。

　ところがその判断が大間違い。山から下りた辻に案内板があったので，内容を確認して，びっくり。"→国道まで３．８㎞"
「３．８㎞もあるのか！１時間かかる。水が･･････。」この先まだ山道が続いていたのだ。がっくり気を落として，辻を渡ったとき右横から声がかかった。
「へんろさん，へんろさん。水飲んで行かっせ（方言は怪しい）。そこの黒い管から出すから，ちょっと待ちゃぁせ。」
いっぱいいっぱい水を飲んだ。ペットボトル２本にも満タンに補給した。本当に助かった。あれはきっとお大師さんだったに違いない。
　ところが，５０ｍも歩くとまたお大師さんが現れた。
「へんろさん，へんろさん。あっついねえ。ちょっと待ってて，ジュース飲んでいって。」オレンジジュースをいただいた。やっぱり愛媛県，みかんの国，伊豫の国だ。
　とにかく国道まで安心して歩けたのは２人のお大師様のおかげです。