8月8日(火)

ー18番〜19番 徳島市街から小松島市へ。立江駅で打ち止め。ー

 

台風一過

 

 よく晴れました。実りひろがった田んぼ,うまいぐあいに自分の影が映りました。徳島市を離れて小松島市に移ろうかというあたりです。

 19番「立江寺」まで行って立江駅で打ち止めにしました。およそ17kmの道のりです。ゆっくり歩いても昼前には着く距離です。今回最後のへんろを味わうつもりで歩きました。

 

 実を言えば,歩き出してからも迷っていました。最初の予定では打ち止めは23番「薬王寺」で日和佐駅から帰ることになっていました。今日,鶴林寺ふもとの金子やで泊まり,あと2日かければ日和佐まで行けます。せっかくここまで来たんだからと気負う気持ちと疲れたのでゆっくりしたいという気持ちがせめぎ合います。何回か気持ちが揺れましたが,このとき決断しました。

 どっちがよかったかなんて分かりません。一寸先は不可知です。そして,禍福はあざなえる縄の如しですからいい,わるいは思い込みでしかありません。

 

台風の爪痕

 

 台風5号の残滓があちこちにありました。川は濁った水で増水していました。吉野川はどうなったでしょうか。昨日渡ったときにはまださほどの水量はありませんでした。竹は風に強いかと思っていましたが,竹林の中に入ったらばたばたと竹が倒れていました。左下は「義経ドリームロード」と呼ばれるへんろ道です。通るのが困難なぐらい竹が倒れていました。 

 

スーパーカブへんろ

 

 恩山寺の駐車場に止められていました。こういう軽バイクはへんろでは大活躍するでしょう。クルマより機動力があります。狭い道や曲がりくねった山道は得意でしょう。燃費もよく経済的です。自転車は急坂になったら歩くよりたいへんです。歩きは日数がかかり,経済的な負担も大きくなります。バスでみんなで回るのは楽でしょうが自由がききません。これらすべてのデメリットをクリヤするのが軽バイクです。

 唯一対抗できるとしたら,電動アシスト付き自転車です。軽バイクより経済的で,ヘルメットをかぶらなくてもよいという利点もあなどれません。ただ,軽バイクほどスピードが出ません。また,積載できる荷物が少なくなります。

 さて,へんろ乗物第1位は,軽バイクか電動アシスト付き自転車のどちらでしょうか。

 なお,写真のバイクのことをスーパーカブと言いましたが,ヤマハメイトかもしれません。わたしには区別できません,悪しからずお願いします。

 

四国へんろを国際遺産に

 

 この立て看もその運動に一環でしょう。19番「立江寺」の手前にありました。外国人へんろにアピールしています。

 外国人のおへんろさんに何人か出会いました。今回も台湾の青年,スペインの母娘と少なくありません。ドイツ人の青年,アメリカ人のカップルと話したこともあります。それ以上に話が出来なくてどこの国か分からなかった外国人がたくさんいました。

 わたしはこの「rest station」を使いませんでしたが,外国人の方の憩いの場になることを期待します。

 ただ,国際遺産になるのが本当にいいのかは疑問があります。国際遺産になった高野山に2度行きましたが,にぎやかな観光地になったことが果たしてよかったのか。運営上助かるのことが多いのかもしれません。ほとんどのお寺さんが運動に協力していますが,高野山のように「明るい観光地」になってしまうのはあまり賛成できません。

 

セルフタイマーで撮影                  お接待の小物  
セルフタイマーで撮影                  お接待の小物  

第11回へんろの打ち止め

 

 19番「立江寺」が今回の打ち止めになりました。立江寺は大きなお寺です。「別格本山」という肩書きがあるのは今回知りました。

 四国八十八か所は西国三十三か所と比べてあまり豪奢なお寺はありません。そのなかでは比較的大きなお寺のうちのひとつです。

 大きさ,立派さでいうと,75番「善通寺」は文句なし第1位です。第2位は,51番「石手寺」ですか。立江寺は,霊山寺,南光坊,志度寺,本山寺といったところと横並びで第3位というところでどうでしょうか。

 

立江駅から徳島駅へ

 

 へんろを終わったあと立江駅から徳島駅までJRで戻りました。これがちょうど今日の歩きへんろを逆トレースすることになります。 この逆トレースにかかった時間が何と27分!

 わたしが半日もかけた行程を電車は30分足らずで駆け抜けてしまいました。 

 

 遍路中はゆっくり流れる、日常とは違った時間を味わうことができました。徳島駅からは特急と新幹線に乗って名古屋に帰ります。岡山駅で新幹線に乗ってちょっと考え事をしていて気が付くともう新大阪です。へんろの日常と世俗の日常とはスピードが圧倒的に違います。 わたしがへんろに出たくなるのは,日常生活のスピードから逃れるためかもしれません。