8月10日(金)

JR予讃線 南風3号
JR予讃線 南風3号

窪川まで
 

  朝5時に家を出て,8時には岡山駅に到着。科学の乗り物の速さに驚くべきである。練習で歩いたとき,同じく5時に出た。 8時ではまだ学校に着いていなかった。移動距離としてはやっと12~3㎞程度。その何十倍もの距離を,こともなく移動していく。

窪川駅
窪川駅

 そしてもうひとつ,運行時間の正確さも驚くべきである。のぞみ59号岡山駅到着が7時54分。1分とて狂わない。南風3号も,岡山駅8時50分発12時45分窪川駅着は全くもって正確である。すべてに計算されたプログラム。明日もあさっても同じように正確に進んでいくというのは驚異である。しかし,これは自然の生き様とは違うよ。このプログラムがちょっと狂ってしまったとき,とてつもない事故が・・・・・・。自然はもっとアバウト。

市野瀬へんろ道
市野瀬へんろ道

 

 

昼過ぎから20㎞

 

 窪川から"おへんろ"スタート。時刻は午後1時。昼過ぎから20㎞歩くことに不安があった。計算上は5時間,6時到着といったところだが,計算するのは自然の生き様とはやっぱり違う。アバウトでいい,アバウトで。歩き始めだから,足腰はまだ元気いっぱいだが,中点から降り注ぐ日差しは容赦ない。田舎の国道は家屋もないので日陰がない。もちろん店もないし,自販機もほとんどない。夏のへんろにとって自販機の設置状況は大変大事である。期待はできないと考え,ペットボトル2本に水を入れて持ち歩くようにしているが,冷えたアクエリアスを飲めたときの喜びは一等である。

市野瀬へんろ道を抜けたところ
市野瀬へんろ道を抜けたところ

 初めてのへんろ道(山道)はトンネルを出てすぐの脇道。細いウサギ道(兎ぐらいしか通れないに道ということか,地元の人がこう呼んでいた)だが木陰になっているのがうれしい。しかも下りなので,体力は消耗しないし,足もまだ元気である。ヘアピンにカーブしている国道56号線を効率よくショートカットすることになり,気分もいい。

熊井隧道
熊井隧道

 

 

熊井隧道

 

 「トンネルというものは入り口は大きいが,出口は小さいものぢゃのう。」と言った人があるという熊井隧道を通った。煉瓦が積まれた雰囲気のあるトンネルだった。小学生がお駄賃ほしさに煉瓦を運んだという話も伝わっている。単なる伝説かもしれないが,計算され尽くしたプログラムでない豊かなものを感じる。
「今日は,坊主たちがこないなぁ。」
「よかんべ。今日はぼちぼちやることにしよまい。」(どこの方言だ!)
そんな会話がありそうな。

鹿島が浦
鹿島が浦

 

 

市町村合併

 

  窪川町が四万十町になり,佐賀町は黒潮町になっていた。昨年も地図にある○○役場がなくなっていることにとまどったが,市町村合併,町名変更がどの地域でも進んでいる。民宿夕日のおかみさんも
「もう,わけがわからん。」と言っていた。
「今日はどっから来なすった?・・・・・・,ああ,はいはい,佐賀ね,佐賀温泉からね。」
地域の人にも新しい地名はまだなじんでいないようだ。みんなが「佐賀」という,「黒潮町」という音節を聞いたことがない。中村市が四万十市になったそうだが,四万十町も四万十市もあって混乱しないのだろうか。
 民宿坂上に着いたのが,午後6時半。やっぱり計算通りにはいかない。
「もう,遅いから今日は来なさらんと思った。」とおばあちゃん。奥に向かって大声でおかみさんを呼んでくれ,冷たいお茶も出してくれた。

民宿坂上 幡多郡黒潮町
民宿坂上 幡多郡黒潮町

 

 

民宿坂上

 

 今回初めての宿。初めての洗濯,初めての入浴。ここで大きな失敗をした。白装束の前ポケットにボールペンを入れたまま洗濯してしまったので,前ポケットの目立つ部分に大きな紫色の斑点を3つもつけてしまったのだ。もちろん買ったばかりの2色ボール+シャープペンシルもボールペンの機能が破壊されてしまった。シャープの機能だけは生き残ったので,この先メモはシャープのみですることになってしまった。
もうひとつの大失敗。ウェストポーチが汗まみれ。そこに入れておいた今回の計画表も汗まみれ。インクがしっかり水分を吸っており,透かし文字のようにぼやけまくってしまった。大事なものなのに,前回の経験が全く生きていなかった。そおっと,そおっと開いて,机の上にとりあえず干した。
しかし,このときはまだ気がついていなかったが,第3の失敗があったのだ。しかも,この2つの失敗より大きな大きなダメージを与えることになった失敗が,音も立てずにひそかに進行していたのだ。