8月11日(月)今治から西条へ

56番「泰山寺」
56番「泰山寺」

携帯の充電器

 

 ローソンに行って探しました。お店の人にも聞きましたが,AC電源からとれる充電器がないことが判明しました。乾電池から充電するタイプの物はありましたが,それはやめときました。スマホの充電器はたくさんあります。ガラケーが世の中から駆逐されつつあることが分かります。

 すぐ近くにあったファミマでもう一度探しました。ここにはありましたが,一機種だけ,片隅にぶら下がっていました。ガラケーはいよいよ肩身がせまくなっていっているようです。

 ちょっと不格好な充電器でしたが,用途は満たしているので購入しました。とりあえず安心となりましたが,考えてみれば早朝に買って,一日中持ち運ぶ理由は1つもありません。充電するのは夜,宿に着いてからですから,昼過ぎに買えば十分だったはずです。

 そうできないのが,心配性のわたしの欠点です。なにか不都合があるとそればっかり気になってしまいます。小さな問題,火急の問題というわけでなくてもとりあえず解決しておかないと心が落ち着きません。性分だからしかたがないのかもしれません。

 

大失敗,杖を忘れた!

無縁仏 今治市
無縁仏 今治市

 56番「大山寺」を予定どおり7時に打ち終えて,快調な足取りで次の札所に向かっていました。30分後,大きな失敗に気が付きました。始めに感じたのは,ちょっとした違和感,「なんか違う」でした。その直後大失敗の真実に気が付きました。

「杖を忘れた!」

 もう2km以上歩いていました。泰山寺までもどって往復すれば1時間ほどかかります。

 迷いました。10年前にお遍路を始めたときからずっといっしょに歩いてきた金剛杖です。真っ白な杖でしたが,四辺に自分で般若心経を書きました。徳島の牟岐で泊まった宿のおかみさんに手製のカバーをつけてもらいました。途中で買ってつけた鈴も結構気に入っていました。

57番「栄福寺」
57番「栄福寺」

 取りに戻ろうかと迷いましたが,あきらめました。タクシーがすれ違ったときには,あれに乗ってもどればよかったとも思いましたが,結局あきらめました。あきらめきれない思いは残っていますが,あきらめました。

 新しい金剛杖といっしょに歩きなさい,というお達しかもしれません。そう思うことにしました。

金剛杖はありませんでした

 

 57番「栄福寺」には金剛杖はありませんでした。

「いつもはうちにもあるんですけど,どこのお寺さんでも売ってますよ」

 納経所のおかみさんはそう言ってくれました。

 できれば,58番「仙遊寺」の山道,急坂を杖なしでは上がりたくなかったのですが,しかたがありません。

落木 仙遊寺へのへんろ道
落木 仙遊寺へのへんろ道

台風の影響,そして,膝の調子

 

 58番「仙遊寺」は高くはないけれど,急峻な山の上にあります。仙遊寺に至るへんろ道は荒れていました。倒木や落ち葉など,また,雨続きですべりやすくなっている山道は,一歩一歩中止して登らなければなりませんでした。

 膝はなかなかよくなりません。左足を庇いながら上りました。

 仙遊寺の登山道をすいすい上ることができれば横峰はいけると,ある意味テストルートでしたが,残念ながら横峰登山の保証は得られませんでした。左足に激痛が走るたびに気持ちが落ち込んでいきました。

新しい金剛杖 58番「仙遊寺」にて
新しい金剛杖 58番「仙遊寺」にて

新しい金剛杖

 

 仙遊寺で買いました。杖が1,000円,杖カバーが300円でした。それほど高い物ではありません。次のステップが始まったと思えば,なにを悔やむこともないわけです。でも,10年いっしょだった金剛杖とは別れがたい思いがあります。

仙遊寺のへんろ道から今治市街を望む
仙遊寺のへんろ道から今治市街を望む

脳内麻薬,その2

 

 仙遊寺からの下りは,それほど痛みを感じることなく下りることができました。歩き遍路専用のへんろ道は道が荒れていたので,クルマ道で下りました。はじめは膝の痛みを感じましたが,脳内麻薬のおかげでしょうか,しばらくすると痛みを感じずに降りることができました。これなら,横峰登山はいけるかもしれない,と初めて本気で思いました。脳内麻薬のなせる技でしょうか。

 ひょっとしたら,新しい金剛杖の神通力かもしれません。

 

 今までになくいい天気になり,下界の今治市がきれいに見えました。遠くはしまなみ海道の橋も見えます。

玄関先で読経するお坊さん?
玄関先で読経するお坊さん?

乞食坊主

 

 玄関先でお坊さんがお経を唱えていました。多分これが本来のへんろの姿でしょう。わたしはゆうちょ銀行におへんろの期間の必要経費をストックしています。だからどんなことがあっても,いざとなったら必要なお金を引き出すことができます。

 すがって,乞うという状況は現実的にはありえません。このお坊さんの修行とわたしのへんろでは決定的に大きな違いがあると思わざるをえません。

59番「国分寺」の門前
59番「国分寺」の門前

5年前は賑わっていた

 

 今治は造船とともにタオルの町でもあります。59番「国分寺」の門前も5年前は賑わっていました。さまざまなタオルを売る店も大繁盛という勢いでしたが,今回行ってみると休業状態になってしまっていました。

 ”国分寺”というだけあって,賑わっているはずだという思い込みがありましたが,そんなものはまったく無意味だということを改めて知る思いでした。

 

女性おへんろさん,横峰寺を打戻で

 

 国道196号線で女性遍路と出会いました。横峰寺に至るルートです。彼女はビジネス旅館小松に荷物を置いて打ち戻り(往復)ルートで横峰を打つといいます。わたしはあくまでも打ち越しルートです。

国道196号で出会った女性へんろ
国道196号で出会った女性へんろ

 荷物を置いておけるメリットはありますが,長くだらだらと上る白滝奥之院ルートが楽だとはどうしても思えませんでした。

 今治から区切り打ちをしています,かの女性はそう言いました。今治駅から直でこちらに来るというのは思い至りませんでした。改めて考えると,そう言う区切り打ちもありえます。

栄家旅館の玄関先にあった菅直人元首相の写真
栄家旅館の玄関先にあった菅直人元首相の写真

栄家旅館

 

 玄関に入ったら,菅直人元首相の写真がが飾ってありました。菅さん,ここまで来たんですね,満願したのでしょうか。

 栄家旅館に投宿するのは2度目です。5年前も,横峰登山にそなえてここに宿をとりました。そのときもおかみさんから懇切ていねいなルート案内をいただき,たいへん心強く思ったことを今でも覚えています。

「実は,お世話になるのは2度目なんです。5年前に泊まらせていただきました」

「そうですか。なんか,見たことあるような気がしました」

 そう言っていただきました。

「5年前はわたしも元気で。今年は夏バテで,申し訳ないけど食事は止めてるんですよ」

栄家旅館の自転車
栄家旅館の自転車

 高齢な方ですが,いつまでも元気でいらっしゃっていただきたいものです。

 

自転車で買い出し

 

 旅館の自転車を借りて,近くのスーパーまで買い出しに行きました。小さめのおにぎり弁当とカップ麺は夕食用,ミートコロッケは朝食用で買いました。

 カップ麺は,「バリィさんの今治ラーメン」というご当地ラーメンを選びました。ここでしか食べられないと思ったからですが,イマバリだからバリィさん,今流行のゆるキャラですね。

 

本日の歩行距離 31.1km