7月16日(土) ビーナスライン

 朝5時15分に出発,少し湿気は感じましたが,走り出せば涼しさ満点です。トヨタ自動車などが土日営業を開始したとはいえ,早朝は道路も空いています。渋滞も暑さもなく,ストレスフリーで走れました。

 有松第二ICで料金を払います。ここは支払いが自動化されていて,カードまたは現金を支払機に入れます。

 ETCカードを挿入すると,「お客さん,車載器はついてないですか?」 頭上のどこから声がかかりました。「ついてません」 完全に無人というわけではないようです。

 守山PAでモーニングコーヒーを飲もうという計画でしたが,まだ朝早すぎてPAの店舗は開業前でした。缶コーヒーを飲んで再スタート,わたしは冷たいブラックコーヒーにしました。120円,やっぱり自動販売機は便利です。 2回目の休憩は駒ヶ岳SA,ずいぶん遠くまで来ました。「守山から130㎞もあったよ」 トリップメーターで計測していた娘がいいました。「思ったより遠かった,疲れるわけだな」 小牧JCで中央高速道路入ってからしばらくは混雑していました。これも土日営業の影響でしょうか。瑞浪ICを越えたあたりからはぐっと車が減り,気持ちよく走れました。

 3回目の休憩は諏訪SA,駒ヶ根からはあまり距離はありませんが,諏訪湖を見学したかったからです。

「いいね,琵琶湖とはちがった雰囲気だね」

「向こう岸の街が見えるのも,またいい」

「浜名湖よりもちっちゃい,かな」

 案内の女性にビーナスラインのことを尋ねました。案内図を取り出して,丁寧に教えてくれました。

「諏訪ICを降りれば,案内板がありますから,すぐ分かりますよ」

 諏訪ICを降りると茅野市に入ります。ガソリンスタンドで給油し,いざ出陣,ビーナスラインへ,といったところです。市街の道路脇に気温の表示がありました。32℃という表示でした。「32℃だよ,でも,そんなに熱いとは思えないね」 たしかにそうです。数字は32かもしれませんが,空気が爽やかに感じます。

  蓼科高原カントリークラブを右手に見るころから山道らしくなりました。蓼科湖で一度停止,小振りなレジャーランドでした。少しずつ高級別荘地?蓼科らしくなってきました。 ちょっと戻って聖光寺に行ってみました。蓼科高原の案内図に桜の聖光寺が案内されていたからです。桜の季節ではありませんが,広い庭が整然と手入れされている大きなお寺でした。「御朱印帳を忘れてしまったんですけれど,御朱印をいただけますか?」「よろしいですよ」 と,御朱印をいただきました。200円でした。だいたいどこのお寺さんも300円で,200円と言われたのは初めてだと思います。

 蓼科湖から白樺湖への道は両側の木立のせいで景色は開けません。路面状態が悪く,一度アスファルトの継ぎ接ぎにハンドルを取られそうになりました。運が悪いと,転倒という末路になったかもしれません。しかし,適度なワインディングが楽しい道ではあります。

 途中小さな展望スペースがあり,そこだけは眼下に雄大な景色が広がります。写真を何枚か撮りましたが,実際の景色とは雲泥の差です。素人のカメラでは風景全体の格調を映し出すことはできません。

 白樺湖は有名な観光地です。でも,今日はあまり人が多くなく,静かに落ち着いていました。「ほんとに,絵はがきみたいな景色だね」 ありきたりの譬えですが,「絵はがきみたい」でした。湖畔の小さな駐車スペースに止めて,しばらく味わっていました。と,隣に娘と同じドラッグスター1100が止まりました。しかも名古屋ナンバー,話はしませんでしたが,3人連れの若者でした。ふと気がつくと,右手から湖畔道路を二頭立ての馬車が・・・,しゃれたリゾート地白樺湖の,まあよくある演出でしょう。

 

 白樺湖から車山高原へ,一気に展望が開けます。緑の小山の坂道をぐいぐい天に向かって駆け上がります。視線の先は白い雲と青い空,空気に天空の光が混ざってきます。群生している黄色い花はニッコウキスゲでしょうか。花見散策の人たちが大勢歩いていました。

 車山高原の展望台から,白樺湖が見えました。空と雲と湖と,青と白の美しい展望が開けます。

 霧ヶ峰高原で一休み,バイクがいっぱい集結していました。道の向こうではグライダーを飛ばそうとしている人たちもいました。車山高原の山腹ではハングライダーも舞っていました。

 霧ヶ峰高原から美ヶ原高原方面へ,三峰展望台まで走りました。この道もたいへん気持ちのいい道です。車山高原からさらに天空に登っていくというイメージです。

 黄色のホンダ2000とRX7が2台とインプレッサが先導してくれました。CBはスロットルをあけ,倒しこめます。余裕を持って3台の車について行けます。

 

 が,娘のドラッグスターはあまり倒せないのでついてくるのがだろうと思いました。「お父さんの姿,撮ったよ」 ところがなんと,娘はのぼりながらも携帯でわたしを撮影していたのです。帰宅後PCでその作品を鑑賞しましたが,わたしのデジカメの作品よりできがよく,何ともまあ,びっくりしました。若い者の能力を侮ってはいけません。

 三峰展望台では「おやき」を食べました。おやきというものを食べたのは初めてです。「野沢菜入りとあんこ入り,それにミックスの3種ありますがどれにしますか」 初めてですのでわたしにはおやきに関するデータは皆無です。いちばん面白そうな「野沢菜入り」に決めました。この選択は今では失敗だと思っています。無難と思える「あんこ」にしておけばよかった,そう思っています。考えてみれば,「おやき」というのは「お焼き」でありますから,まんじゅうを焼いたもの,野沢菜を焼いておいしいとは思えません。どうしてこんな名物があるのでしょうか。ただし,あんこ入りのおやきは実際は食べていませんので,うまいかまずいか分かりませんが・・・。

 三峰展望台に来てしまったのは,実は道をまちがえたからです。車山高原での計画では,国道142号線で降りて,岡谷ICへ行こうということでした。しかし,その分かれ道を通り過ぎていたのです。展望台から戻るようにして国道に向かいました。 国道142号線の下り道の路面は最悪でした。油断や運気によっては,でこぼこの路面にタイヤをとられ転倒,という事態にもなったかもしれません。ひやっとしたあとは慎重に下山しました。 142号線をそのまま走っていると自然に岡谷ICに入ってしまいました。「岡谷市街に行ったら,かき氷を食べよう」 と,娘と話していたのですが,それは高速のPAへ持ち越しとなってしまいました。その計画が実現したのが,小黒川PA,「氷」というのれんを下げたワンボックストラックが止まっていました。赤と黄色に塗られた派手なトラックでした。「これは普通のかき氷とちがいます。ほら,こんな感じで,氷の中にもう味がついているんですよ。歯も細かいものを使ってるから,ふわふわになるんです」 マンゴアイスとイチゴアイスを注文しました。たいへんおいしそうです。「またきてください」「ちょっと,気軽にはこれないんですよ」「どこから来られました」「名古屋です」「名古屋へはわたしは,一週間に一度は行くんですよ,名駅の近くの事務所に用事があって」 もうひとりの人も,「刈谷ハイウェイオアシスに来週の日曜に頼まれていて,行きますよ」「刈谷なら,歩いてでも,行けますよ」 この特別製のかき氷は,アイスクリームに近い食感でした。

 同じ道を帰るのはつまらないなからと,恵那ICで降りることにしました。すぐ近くの阿木川ダムに寄りましたが,時間のせいか季節のせいか,閑散としていて期待はずれでした。 国道257号線を稲武に向かって走ります。稲武で国道153号線に入り,毎度おなじみの道の駅「どんぐりの里いなぶ」で一休みしました。「257号線って,すっごく,いい」 娘がそういいました。わたしも恵那から稲武の区間の257号線は大好きです。ゆったりとした走りができます。周りの景色も静かで落ち着いています。川が気持ちよく流れています。「やっぱり(一般)国道の方がいいね」 実は岡谷から恵那の高速では,半分眠っていました。涼しい天空から降りてきて暖かい(暑い→走ると心地よい暖かさになってしまいます)日差しを体に受けました。ちょうどふとんの中に入っているような感じです。それに加えて,ずぼら運転ができる高速道路です。うっかりすると目が閉じてしまいます。もちろん,バイクの運転中ですから,四輪の運転以上に危険です。後ろから娘の走るばいくが,追い越し車線にふらっと寄っていくのを何度か見ました。自分にも眠気が容赦なく襲ってきます。 急遽,早めの休憩を,という案内に従うことにしました。娘のバイクを追い越し,先導するような形で恵那峡SAに入りました。「途中眠っていただろう? 隣の車にすり寄っていくのを見たよ」「うん,わたしもここ(恵那峡SA)に入ろうと思っていた」 高速道路は長距離の移動には便利ですが,単調で面白味はありません。それに比べれば国道257号線の魅力は比べものにならないということでしょう。
 道の駅「どんぐりの里いなぶ」でびっくりしたことがあります。土曜日曜といったら,ここの駐車場はいつもバイクで満車でした。ところが今日は,わたしたちが行ったときにもう出でようとしているバイクが1台,そのあとは完全にわたしたちのバイク2台になってしまいました。「トヨタ,すごい」 娘が言いました。トヨタ自動車の営業で,このあたりの人たちはみんな働いているのです。何といってもトヨタ自動車のお膝元,豊田市ですから。 どれだけすごい力をもっているのでしょうか,トヨタ自動車は。菅直人首相なんて,到底太刀打ちできないかもしれません。