8月14日(日)

13番「大日寺」徳島市一宮町
13番「大日寺」徳島市一宮町

へんろ転がしの後遺症 

 後遺症は全身にあったが,特に右ひざに出た。 疲れは全身に,ダメージはひざに,という感じかな。 ひざのダメージは急な下り坂のせいである。 いっしょに登った人たちも,たしかに上りはたいへんだったけれども,下りの衝撃がつらかったと言っていた。 特に年を重ねると片足で支える時の“ため”がうまく保てないのがよく自覚できる。 
 若い子たちが飛ぶようにひょいひょいと降りていくのを見ていると,自分もちょっと(?)前はあんなんだったなあと思うが、その隔絶はどうしようもない。 下りの方が片足で支えるパワーは必要なのだ。 上りはパワーはあればあるにこしたことがないが, なければないで歩幅を小さくして登っていけば非力な人でも何とかなる。右ひざの痛みのためか,全身の疲れのためか,みょうざい旅館までの約20キロメートルはつらかった。 

13番「大日寺」徳島市一宮町
13番「大日寺」徳島市一宮町

 

お大師様の助け舟 

 へんろ道はじつのよく道しるべが整っている。 こっちでよかったのかなあ,という疑問が湧くとたいていその10秒後ぐらいに「へんろ道」という札を見つけて安堵する。 しかし,不思議に思うのは10分15分歩いてもその道しるべが見つからずに,不安と懐疑の頂点に達しようかとする時に,きまって前から地元のおじさんが現れる。 
「へんろ道はこっちでいいですか?」と聞くわたしにたいへんていねいに教えてくれる。 やっぱりあれはお大師様なんだろうな。

 

お大師様の助け舟その2 

 「17番まで行きますか?17番が終わったら電話してもらえば迎えに行きますよ。」 迎えに来てもらうのは“ずるい”とも考えてみたが,みょうざい旅館の人にそう言ってもらったときには本当に疲れていた。 だから,それはお大師様のお計らいなんだと思うことにした。 そう思うことは間違っているのだろうか? 

17番「井戸寺」徳島市国府町
17番「井戸寺」徳島市国府町

信号で走ってしまった。 

 15番札所から16番に行く途中,歩行者用信号が青点滅になったのを見て,思わず走ってしまった。 悲しき現代人の習性,ほとんどの人は同じような行動をしているとおもう。 しかし,このときのわたしにとって,これから何kmも歩こうという私にとって,ワン信号を稼ぐことがどれほどの意味があったんだろう。思いがそこに至った時,自分が今“へんろ”ということをしている,その目標が少しわかったような気がした。