8月16日(日)

健脚社長
健脚社長

札始大師堂で

 

 朝5時前に出立し,暗いなかを歩いていたら後ろからあっという間に追いついてきて

「おはよう,今日は暑いなあ」と,そして,あっという間に追い抜いていった。前日八坂寺で出会った,45km〜50km歩くという健脚おじさんである。

 札掛大師堂で話す機会を持った。大阪の社長さんである。携帯電話で画像を撮り,その場で自分のブログを更新していた。私の写真も撮り,

「ブログに載せていいかい?」

「携帯の方がパソコンより扱いやすいよ。」

 私が,「携帯は入力が面倒で,あんまり活用していない。」と言ったら,そう反論した。私も本当は携帯でリアルタイムに更新できるようになるといいとは思っているのだが,・・・。

 

「勝手気ままなおっさんの一人歩き」

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48番「西林寺」
48番「西林寺」

 健脚社長は札所でブログを更新するからどうしても私より出発するのが遅れる。それで,私が先に歩き始めることになる。48番「西林寺」には私が先に着いた。15分ほど遅れて社長が来た。

 お参りを済ませ,納経も済ませて出発するときには,やはり私が先に立った。しかし,歩くのは速い。結局49番「浄土寺」に着く前に軽く追い抜かれた。笠を背中にしょって,小気味よいリズムで歩く姿は本当にしっかりしている。

ゆっくりおじさん 西林寺付近
ゆっくりおじさん 西林寺付近

 

ゆっくりおじさん

 

「速いな,そんなに速く歩いてどうする。」

「昨日はそこの公園,野宿はいいぞ。自由だぞ。歩きたいときに歩けばいいし,ゆっくり見たい,したいと思ったら歩くのをやめればいい。」

「宿をとったら,どうしてもそこまで行かなならんだろう。」

 

 

健脚社長の堂々たる後ろ姿
健脚社長の堂々たる後ろ姿

 本当にゆっくりである。野宿もやってみれば,何の不自由もない,おまえもやってみろと言う。言われることはもっともだと思うが,私はまだそこまで踏み切れない。ここにも私の小さな世界を超える人物がいた。

 「私のペースで歩きます,先に行きます。」と声をかけて別れた。

「そうだな。それがいい。」当たり前の返答だった。

 直後に,健脚社長があっという間にゆっくりおじさんを追い越していた。一言も声をかけなかったようだ,どっちも。

50番「繁多寺」前のアイスクリン
50番「繁多寺」前のアイスクリン

アイスクリンおじさん

 

 次の,51番「石手寺」の道をアイスクリンを売っていたおじさんに尋ねた。

「そこの道を右に行って,次の四つ辻を右に,しばらく歩くとへんろ道の案内がある,そこを左,突き当たりを左,すぐ右に,そしてコンビニの交差点をまっすぐ,次の交差点を・・・・・・,・・・・・・,で,着くよ。」最後まできっちり教えてくれた。

 ただ,私は3番目の辻ぐらいまででとっくにオーバーフローしていたのだが。

「ありがとうございました。よくわかりました。」嘘つきである。

 

スペインから来た女性2人 51番「石手寺」で
スペインから来た女性2人 51番「石手寺」で

 石手寺で逆に道を尋ねられた。内容も逆で,50番「繁多寺」までの道を終えてほしいという。スペインから来た2人の女性だった。アイスクリンのおじさんから習った道順を再びきっちり教えるべきだったのだろうか,しかし,私の頭脳はとっくにオーバーフローしていたからそれは不可能だった。ちゃんと教えられなかった,ごめんなさい。

 地図を見てもらって,教えるには教えたが,きっとわからなかっただろうな。歩きながら,聞いてね。

道後温泉
道後温泉

道後温泉

 

 道後温泉が公立(松山市)の施設であることを,湯につかりながら隣にいたおじさんに聞いて初めて知った。なるほど,ドライヤーの使用料金が3分10円という所も公立っぽい。入浴施設そのものはきわめて簡素である。最近のスーパー銭湯にあるじゃぐじーとか露天とかサウナとかは一切なく,湯船が2つあるだけである。それが東の湯と西と湯という命名が何ともいかしている。「とっちも同じだよ」とおじさんが教えてくれた。

 ただ2回にいくと宴会芸を見られたり,浴衣でゆっくりしたり,個室でくつろいだりできるらしい。私は利用しなかったが,道後温泉の名誉のために付け足して起きたい。

52番「太山寺」
52番「太山寺」

 

くもりのち雨のちくもりのち晴れ

 

 52番「太山寺」を出るとき,必要ないなと思って笠をザックにくくりつけた。と,とたんに雨。小雨なので笠をおろして被るまでもない,と思い,そのまま歩いた。いったん雨があがったが,53番「円明寺」でも雨が降ってきた。

 円明寺を出るときは雨がやんで空が明るくなってきた。曇り空から心地よい風が吹いていた。ところが,しばらく歩くと今度はいきなり強い日差しが首筋をおそってきた。何という天気,笠はザックに,日差しを我慢しながら歩いたが,今回のへんろで初めて“暑さ”を我慢できなかった。

54番「円明寺」のキリシタン灯籠
54番「円明寺」のキリシタン灯籠

 

パンとキャラメルのお接待

 

 堀江郵便局の近くでおばあさんからお接待していただいた。コンビニで買ってきたのだろう,パン2個とキャラメル2個,そのうち1個ずつをお接待。自分が買ったもの,自分のものから半分,これが本当のお接待かもしれない,という感じがした。

 

民宿四国のさりげないサービス

 

 入浴して部屋に帰るときスリッパがそろえてあったり,布団がきちんと敷いてあったり,さりげない心遣いに感心した。

 翌日の朝食はカットでお願いした。夕食後に精算することになる。夕食をいただいたあと女将さんに精算をお願いした。あとでもいいですよ,上にあがりますよ,と言いながらちゃんと用意してあった領収書をさっと渡してくれた。どっちでも対応できるように領収書を用意しておき,客の出方に会わせようということである。些細なことであるが,どっちを大切にするか,という心がしっかり表れている。