人間って,どこにでも住んでいるんだなぁ
新幹線に乗ると,毎回思うこと。何もすることがないまま車窓を眺めていると,次々に住宅の塊が通り過ぎていく。京都,大阪,神戸といった名だたる大都会は言うに及ばず,山間部だって人間が進出していない土地は皆無だ。
新幹線のなかでホットコーヒーを1杯飲んだ。300円。カップに蓋がついていてストローが差し込めるようになっている。蓋をしたままその穴から飲もうとしたのだけれど,やっぱりうまくいかなかった。ホットに蓋は必要か?
岡山駅で松山行き特急しおかぜ3号に乗り換えた。在来線の岡山駅のホームは,サービスなんだろうが,案内表示(数字表示)がやたら屋根から下がっている。3番線とか12番扉とか・・・・・・・。あまり丁寧で多すぎるのも,初めて利用する人にわかりにくいと思った。
レジ袋
岡山駅でマドレーヌとカリレオとお茶を買ってしおかぜに乗り込んだ。カリレオというのはコーンスナックである。ジャガリコにしておけばよかったとちょっと後悔した。
キオスクでレジ袋に入れてもらった。このレジ袋がこのあと大活躍することになる。雨対策に絶大な威力を発揮したのである。
ザックに入っている大事なもの,納経帳とかメモ帳とかを小分けにしてレジ袋に入れておく。小さなレジ袋にデジカメや携帯電話をそれぞれ入れてポケットに入れる。そうすれば少々の雨に降られても被害に遭うことがない。また,財布をレジ袋に入れてポケットに入れておけば,汗による被害も防ぐことができる。
レジ袋は使い方次第でたいへん有用なんだ。レジ袋有料化,及び廃止の方向は間違っているかもしれない。
宇和海7号_アンパンマン列車
宇和海7号で卯之町駅に向かった。前回の土讃線に比べて予讃線は海沿いを走ることが多い。山深いところを走る土讃線の方が私の好みに合っているようだ。
高松駅で買った幕の内弁当を食べた。豆とかきんとんとか,甘いものがおいしかった。酒を飲まなくなって確実に好みが変わってきている。
2年ぶりの卯之町駅
12:10,今まで曇っていたのに急に日差しが戻ってきた。真夏のへんろのふさわしい環境になった。
「さあ,行くぞ。」_深呼吸。
12:20,スタート
英語のへんろ道案内
walkers for SHIKOKU 88 temples JAPAN
for 1,000 years !!
total:1,200km(loop),45days on foot !!
鳥坂峠の入り口にあった。数日後,60番「横峰寺」へ向かう道でも見た。51番「石手寺」ではスペイン人の女性2人から道を尋ねられたし,横峰寺を打って,61番へ下山する道では,外国人の女性のおへんろさんとすれ違った。ちょっとしたブームなんだろうか。しかも,女性ばっかり?
鳥坂峠へんろ道
鳥坂峠の入り口にあった案内板の表示が間違っている?
峠 5.5km(60分)
トンネル 2.1km(25分)
なんで? だいたい5.5kmも山道があったら60分ではとても行けない。倍はかかるでしょう。5.5が間違っているのか,60が間違っているのか・・・。地図を見ると自動車道との距離の違いがそんなにあるとは思えないが,地図が間違っている場合もままある。
5.5が正しかったら,峠道は避けるところだが,間違っている方に賭けることにした。
涼しいへんろ道
へんろ道は峠を挟んでいることが多いので,上って下ってと自動車道より体力と時間を消耗する。しかし木陰の道は圧倒的に涼しい,そして静かであることが体力の消耗を軽減してくれる。どちらを選択するかは悩ましい問題であるが,基本的にはできるだけへんろ道を歩くことにしている。
峠までの登りはやっぱりきつかった。その分峠の涼しい木陰で休憩は元気を十分回復してくれた。水をいっぱい飲んだ。おいしかった。ただ,元気な蚊もいっぱいいたことが難点だったかな。
おへんろさん休憩所
峠道からへんろ道をそのまま行くか,下へおりてトンネルバス停の方へ行くか迷った。私は後者を選んだ。
どちらが正しい選択なのか,どちらが自分にとって幸せな道なのはいつもわからないし,あとからになっても結局その正邪はわからない。
私選んだルートはへんろ道を一気に下り,国道56号線に出る道である。
国道に出たところに「おへんろさん休憩所」があり,そこにはお接待で冷たいペットボトルのお茶と塩飴がおいてあった。冷たいお茶を1本いただいて一気に飲んだ。飴もおいしかった。携帯用にもう1本お茶をいただいた。すごく元気になった。
もし,へんろ道を続けて歩いていたら,この休憩所に出会うことはなかったということを考えると,私の選択は正しかったかなぁと思う。でも,よく考えてみれば,へんろ道の方を選んでいたら,これよりもっと幸せな体験に出会ったかもしれない,ということも言える。両方同時に体験できないわたしたち人間には絶対できない判定だということだ。(それは神の視点でのみ可能である。)
数日後であったおへんろさんと話していたとき,
「鳥坂峠の札掛大師はさびれていましたよね。」と彼が言った。それは私がパスしたルートにあったお大師様である。そこにどんなものがあり,そこでどんなことがあったのか,私には永遠にわからない。
ときわ旅館さん
何度も何度も携帯電話をかけていただきました。マナーモードにしてあったので出られませんでした,ごめんなさい。到着が遅くなったので心配していただいたことに感謝しています。(このあとマナーモードの設定を解除した)
とても親切にお接待していただきました。洗濯もしていただき,ちゃんとたたんで部屋まで持ってきてもらったことなど,後にも先にもありません。マスクやまめ対策の針やバンドエイドなどもいただきました。食事中もお遍路のお話をいろいろしていただきました。
ご主人は冬に通しで歩かれたそうです。「冬は歩いていると体が温まって」たいへんいいというお話を聞きました。前回のとうべやで一緒になった夫婦のおへんろさんからも同じような話を聞いたことを思い出しました。
夕食はたっぷり。今回のへんろ宿の中では質も量もいちばんでした。