5月31日(火) 伊吹山

 今までバイクでは一度も行ったことがありませんでした。2,100円の通行料は高い,と思っていたからです。たかが1,300メートル程度の山で,茶臼山とほとんど変わらないじゃないか,と思っていました。

 ところがまったくちがいました。2,100円とってもよし,茶臼山とは格が違いました。 天気にも恵まれました。直前の名神高速道路,養老SA付近は非常に強い風が吹いていました。昨日まで続いた台風のおつりか,とやむをえないと思っていました。ところが,なんとドライブウェイを上がるにつれて風はなくなり,山頂はほとんど無風でした。山頂の山小屋のご主人も

「そんなに吹いているんですか,不思議ですよね」

 と下とのちがいに驚いて見えました。
 山頂手前の展望駐車場であったおじさん,コベンに乗ったおじさんは三好の人でした。

「○○という会社の守衛さんをやっていたんだよ」

 気さくに声をかけてくれました。 三好の郵便局で働いていた娘は,

「あの人,知っている」

 ユーモアのある印象深い人だったようです。

 今日は娘と2人で出かけました。わたしはCB,娘はドラッグスター,HONDA&YAMAHAのデュエットツーリングです。

 有松ICから名二環に入って清洲JCで名古屋高速,一宮ICで名神高速道路に入りました。名二環では引山から先で自己渋滞に巻き込まれてしまいました。抜けるのに45分と表示がありましたが,路肩部分をすり抜けさせてもらいました。ごめんなさい。ただ,アメリカンの娘はちょっと走りにくそうでした。

 伊吹山ドライブウェイにさしかかると幸運にもだんだん晴れてきました。山頂は雲が多かったものの,ときどきさあっと雲がひき,くっきりあらわれる青空がたいへんきれいでした。昨日までたくさん降った雨が大気の埃をも流してくれたようです。空気もたいへん澄んでいました。

 ドライブウェイの途中では野生のサルを見かけました。10匹近くいたでしょうか,わたしたちのエンジン音に驚いて,崖を一目散に登っていきました。

 伊吹山は1,300メートルほどのあまり高くない山です。山小屋のご主人さんによると,登山の訓練のために登ってくる人がたくさんいるそうです。ふもとからはやい人で2時間,ゆっくり登る人で3時間半だそうです。

「さっきそこにいた人も,練習にきた人ですよ。あの人は,次はもっと本格的な山に行くんです」

 

 伊吹山山頂にはお寺がありました。

「山にお寺があるのはめずらしいんです」と,山小屋のご主人。「山には神様がいらっしゃるから,神様怒っちゃうんですかね」

「どうかわかりませんが,緊急避難小屋だったのを地元の人がお寺にしちゃったんです。山にはお寺を建てては行けない,という法律があるそうです」

 法律があるかどうかはわたしは知りません。富士山には富士山そのものを神格化した浅間神社があるように,山には山の神様が住んでいます。そこへずかずかとインド出身の外国神が入っていくのは確かにまずいのかも知れません。

 納経を受け付けていたので,封筒に300円を入れて郵送していただくように手続きしてきました。

  大乗峰伊吹山寺ホームページ  http://www.biwa.ne.jp/~mt-ibuki/

 ドライブウェイをゆっくり降りて再び名神高速道路へ。

 ドライブウェイを下るときに娘のドラッグスターの走行写真を撮りました。片手運転になるので緊張しました。たくさんシャッターを押しておけば,なかにはいい写真もあるだろう,そんな気持で勘を頼りにシャッターを押しました。

 

 

 関ヶ原ICから大垣ICへ向かいます。インターチェンジ出口では,私が娘の分と合わせて2台分の料金を払います。そのときETCのカードを「一般」出口のおじさんに渡します。

「ETC車載器はついていませんか?」

 必ずそう聞かれます。親切で聞いていただいているのですが,毎回毎回聞かれると,

「まだ,つけていないんですか」という含みに聞こえてしまいます。ETC車載器,約4万円,いい加減につけた方がいいのでしょうか。高速道路前専務量という民主党のマニフェストに期待していたのですが。

 木曽三川公園でカレーどんぶりを食べました。娘は米粉を使った麺でした。娘はあんまり食べません。

 木曽三川は昨日までの大雨で水量たっぷり,濁った水が大きく動いていました。空気は澄んでいましたので,タワーの上からは四日市市のコンビナートや名古屋駅のツインタワー,名港トリトンなど遠くもよく見えました。

 そのとき気がついたことは,

「川が下流から上流に流れている」

 波うって勢いよく流れている波模様は,どう見ても下流から上流に向かっていたのです。

 犯人は,「風」?

 千本松原の堤防道路を走り,近鉄鉄橋のところでバイクを降りました。ものすごい風が吹いています。その風で川面がぐんぐんと上流のほうに向かって流れていました。「満潮になるからか」とも思いましたが,この勢いはやっぱり「風」。

 伊吹山山頂はあんなに静かだったのに,下界に降りてくるとこの強風。不思議な日といえるかもしれません。

 この風の中,名港トリトンを突っ切ることにしました。一瞬迷いました,国道23号線にしようかどうかと。

「吹き飛ばされることはないよね」

「ないよ」

 と,見くびったわけではありませんが,湾岸道路へ突入しました。

 ところがやっぱり,吹きっさらしの名港トリトン,「横風注意」の表示や吹き流しが勢いよく泳ぐなか,決死隊のような走行を経験しました。

「あんなに怖かったのは,はじめて」

 出口ランプで横に並んだ娘がいいました。