8月13日(月)

ジョン万ロード 県道27号線
ジョン万ロード 県道27号線

右足の痛みは最大の失敗

 

 右足の痛みは増していた。どうも筋肉痛ではない。右足ふくらはぎがパンパンに腫れているし,膝の裏の腱が痛い。大変だったのは部屋が2回にあり,トイレ洗面所が1回にあるという作りの宿だったこと。階段を下りる足に激痛が走った。

土佐清水港
土佐清水港

 3つめの宿で今回初めて朝食をしっかり食べることにした。エネルギー重点作戦に今日から変更だ。「腹が減っては戦ができない。」というわけである。
 6時50分玄関前でおかみさんに写真を撮ってもらって出立した。
「へんろ道はやめとき。上がって下がるだけ。景色もあんまりだしね。いい道ができたから県道を行きなさい。」と貴重なアドバイスを受けてスタートした。足は相変わらず痛いが,迷いはなくなった。
 3㎞ほど歩いて突然気がついた。
「ひょっとして,靴ひもが原因ではないだろうか。」
今回のへんろの最大の失敗が明らかになりつつあった。2万円で買ったへんろ専用の靴。靴そのものは大変優秀で足の裏はいつになく元気だったが,この2日間で右足(特にふくらはぎから膝裏にかけてひどく痛い)を大きく痛めてしまった。それは靴のいちばん上の穴までひもを通し,しっかり結んでいるため,足首が固まってしまっているからではないだろうか。足首を伸ばす歩き方ができず,足の裏を水平に持ち上げなければならない歩き方になってしまっているのだ。だから下肢を引っ張っている膝の腱に負担がかかる。
 この大発見は大正解だった。靴のひもをいちばん上の穴から解放し時から,右足の故障は徐々に解消していった。思えば,練習で学校を往復したときもちょっとばかり太股の裏に違和感を感じていた。そのときはジムでの筋トレのせいかと思っていたが,このとき合点がいった。

竜宮城で半ちゃんラーメンを食べた
竜宮城で半ちゃんラーメンを食べた

ハーレー・ダビットソン

 

 土佐清水市でハーレー4台発見。ライダーは男,女,女,男。いろんな意味でうらやましかった。バイクに乗って走れること。それもハーレーであること。そして,男の子と女の子と・・・・・・,何ともうらやましい。ウインカーを出して交差点を右に曲がって行った。
 無い物ねだりをしてもしょうがない。今のわたしの恋人は清涼飲料水の自販機である。地図にコンビニが載っていてもけっこう裏切られる。スリーエフもヤマザキも閉店していた。道端の自販機を発見して,クーを飲む。うまい!甘いものは,無条件でうまい!アクエリアスもうまいが,クーはうまい。

竜宮城外観
竜宮城外観

 

 

土砂降り,ずぶ濡れ

 

 雨が降った。ポツポツ来たなっと思っていたら,ザーッ,ドザーッと来た。一瞬でずぶ濡れになった。この雨で2つのことが分かった。
 ひとつは,地元の人の天気予報はすごい,ということ。降ってくる直前に海岸沿いで仕事している地元のおじさんに出会った。すれ違いざま,
  「へんろさん,雨が降るよ。」
と。予言どおり3分後にポツポツ,10分後にザー!わたしは予言のおかげで,地図・カメラ・携帯をザックに詰め,雨天用カバーを掛けることができた。ただし,自分は濡れ鼠。すごいな地元の人の判断は。同じようなことが,翌日の月山神社付近でもあった。思えば,あのおじさんはわたしのために現れてくださった御大師様だったかもしれない。

 もう一つ分かったことは,この時期の雨はまったく平気だということ。濡れ鼠になるのがむしろ気持ちがいい。持ち物が濡れてはいけないが,自分は濡れてもいい。あがればそのまま歩いているとだんだん乾いていく。道の駅で,かき氷を食べながら服を乾かした。ズボンは乾きにくいが,上位の白装束はすぐ乾く。雨合羽は持ち物から除外してもいい。この道の駅では,エストレイヤとマグナのふたりの女の子のツーリングに出くわした。またまたうらやましかった。

 

 

叶崎

 

 トンネルを4つ越えて叶崎に到着した。トンネルがなかったころは大変だっただろうな。トンネルどころか,国道がなかったころは想像ができないぐらい大変だっただろう。
 叶崎灯台はなかなかだった。両側が絶壁の馬の背,海が左右から迫る道の先にちいっちゃな白い灯台がある。木が生えていてガードレールのように身を守っていてくれたが,もし木がなかったら怖くてわたれなかったかもしれない。感動しながら進んでいったら,カップルがそそくさと退出してきた。どうもいけないことをしていたようだ。もっといけないことをする前にわたしが入り込んで,止めてあげたからよかった,ねぇ。

叶崎灯台への馬の背道 左右は海
叶崎灯台への馬の背道 左右は海

 宿叶崎は本当に民宿だった。看板があったのでここか?と思ったが,たたずまいが一般の民家そのもの。躊躇していると,近くにいたおじさんが,そこだよと教えてくれた。玄関にカラフルな下着が干してあったのにびっくり。こんな鄙びたところに,と大きな違和感をおぼえるほどカラフルな下着だった。
「ごめんください。」・・・・・・「こんにちは。」と声をかけると,しばらく間があって,
「はぁい。」と若い女の子の声。きれいなピチピチの女の子が目の前に現れて,
「ごめんなさい,おばあちゃん,呼んできます。」

叶崎海岸
叶崎海岸

 部屋には茶もなし,コップもなし,トイレ洗面は階下と設備は充実しているとはいえなかったけれど,まあ,OKかな。
 洗濯をして,ふろに入って,ぼぉっとしていて,洗濯物を干すのを1時間以上忘れていた。あわてて階下の洗濯機まで撮りに行ったら,洗濯物がない。うろうろしていたら,さっきの若い女の子が出てきて,
「洗濯物勝手に干しておきました。ごめんなさい。よかったですか?」
OK,OK,大OK!