8月12日(月) 松尾峠越え 土佐から伊予へ 40番観自在寺

早朝の宿毛市
早朝の宿毛市

 

4時出発

 

 4時はまだ真っ暗です。5時ごろから少しずつ明るくなります。今回のへんろは懐中電灯が大活躍しました。最近の懐中電灯は手のひらサイズと小さくなり,小さくてもLED使用で明るさにはまったく不安がありません。リュックにぶら下げ,足元を照らすには十分です。何より小さくて軽いので,へんろにはもってこいです

 6時ごろ宿毛市街に到着。コンビニで食糧を調達しました。缶コーヒーと大福は朝食用,そして昼食用にパンをふたつ買いました。へんろになれてくると,朝と昼は軽食で十分になります。お腹が空いて歩けないということはまずありません。いざというときのためにピーナッツを常に携行していますが,そんなに頻繁に食べるということはなくなりました。

伊予の赤牛
伊予の赤牛

 

松尾峠へ

 

 宿毛市を抜け,山道に入ります。なだらかな山道をしばらく歩くと開けたところに出,赤牛の牛舎がありました。朝日に照らされた牛の美しい姿が印象的でした。緑の山々に包まれて,生き生きと命が輝いているようでした。

 

 

 

 この,赤牛の牛舎をすぎたところに松尾峠の入口があります。

 

松尾峠へんろ道
松尾峠へんろ道

 松尾峠は高知県と愛媛県の県境になる峠です。標高300mと,たいした高さではありませんが,高知県側の上り坂が急で,最後の最後で一気に体力を消耗します。峠を挟んで愛媛県川はうって変わってなだらかな坂になります。道も整備されていて広く,下りやすい道になっています。

 県による違いがこんなにもあからさまだと,それぞれの行政状況を勘ぐってしまいます。高知県にはがんばってもらいたいもですが,荒れた山道もへんろの味わいといえば味わいです。

マムシに遭遇
マムシに遭遇

 

これはマムシでしょうか。

 

 山道の真ん中(荒れた高知県側の山道です)で発見,びっくりしました。枯れ葉や土に混じってまさに迷彩色を隠れ蓑にしていました。タイミングによっては踏んづけてしまったかもしれません。

 たいていの蛇は人の気配がすると素早く逃げていきます。が,こいつはいっこうに逃げる様子がありませんでした。向かってこられても困るので,金剛杖で押さえつけながら,慎重にまたぎ越しました。金剛杖をこんな使い方してよかったのでしょうか。

松尾峠
松尾峠

 

峠の四阿

 

 峠には小さな祠と四阿があります。周りは木が鬱蒼と茂っていて全体に暗いところです。休憩用のベンチもありますが,休憩しようという気にはあまりなりません。夏の休憩には木陰は必須ですが,あまりに暗いのも気分が晴れません。日差しは差さないし,風も通らないところでは落ち着かないし,結局体も休まりません。

峠を越えて伊予路へ
峠を越えて伊予路へ

 

菩提の道場「伊予の国」

 

 少し下った愛媛県側の明るいところで一休みしました。修行の道場「土佐の国」を終えて,ここから先は,菩提の道場「伊予の国」です。もちろん”修行”が終わったわけではありませんし,へんろ道が一転するわけではありませんが,何となく気分が変わります。

自販機のほとんどはコカ・コーラ
自販機のほとんどはコカ・コーラ

 

コカ・コーラひとり勝ち?

 

 夏へんろでは毎回頻繁に自販機にお世話になります。ここまで歩いてきて気がつきました。道端の自販機のほとんどが,あの赤い,コカ・コーラの自販機であったことを。

 しばらく気をつけて歩いてみました。赤,また赤,そしてまたまた赤,・・・・・・。やっぱりコカ・コーラばっかりです。だから清涼飲料水はアクエリアスばっかり飲んでいたわけで,ポカリスエットなんて一度も見ませんでした。清涼飲料水のパイオニアはポカリだったと思うのですが、どうなってしまったんでしょう。 

 コカ・コーラ一人勝ち状態、これは四国だけのことなのでしょうか、全国的な傾向なのでしょうか? 

自転車へんろの二人
自転車へんろの二人

 

自転車の夫婦

 

 39番「延光寺」で会った自転車へんろの夫婦に再会しました。前日の夕方,「歩く人と結構似たような速さですよ」という奥さんのことばが実現したわけです。

 静岡市に住んでいる方で,ご主人さんは2度目の自転車へんろだそうです。いろいろお話しすることができました。

「もう76歳ですよ。孫が6人いて,毎歳夏休みには子守になってしまいます。で,今年は,孫たちから逃げてきたんですよ」

 本音とも冗談とも分からない微妙な口吻でした。

40番 観自在寺
40番 観自在寺

 自転車は最初の宿まで送ったそうで,月末まででとお仕打ちか完成させる予定でいるとのことでした。

「焼山寺もこれで上りました」

 自転車は平地ではその能力を遺憾なく発揮するでしょうが,山道は反って重荷になってしまいます。歩きと比べて楽かどうかは一概に判断できません。

「愛知に入ったことありますよ。隣の県ですからね。トヨタ博物館に行きました」

「長久手市ですね。万博のあったところです」

「四日市球場にも行きました。そっちの方でしたか?」

 四日市市は三重県です。ご主人の中では愛知県に入っているようでした。

 

 今日は仏木寺の近くの宿まで行きたいとのことでした。民宿「とうべや」のことでしょうか,わたしは前回のへんろでそこに泊まりました。ここからはまだ何十キロも離れていて,さすがに歩きのわたしはそこまで行けません。

 二人は先を急ぎ,わたしはゆっくりすることにしました。もう出遭うことはないだろうと思いました。

 が,何とまたまた不思議な縁が・・・,実はありました。

お接待の缶ジュース
お接待の缶ジュース

 

おへんろさん,ほい!

 

 ファミリーレストランJoyfulで2時間,久しぶりにゆっくりしました。時間的には愛南町の柏まで行けました。はじめは柏の民宿旭屋に宿をとってあったのですが,キャンセルしました。無理を続けてもいいことはない,半分言い訳ですがそう決め込んで近くで宿を取り直しましtが。

 素泊まりだったのでローソンで夕食と翌日の朝食を調達,パン,おにぎり,ハンバーガー,カップ麺を買いました。買って国道に出たら,横に軽トラックが止まりました。

「おへんろさん,ほい!」

 オレンジジュースの接待を受けました。ありがたいことです。

 

民宿磯屋
民宿磯屋

 

いっしょに見ましょう

 

 民宿磯屋のおかみさん,いかにもへんろ宿のおかみさんでした。お接待好きというか,ちょっとすぎるとこがあり困惑しました。

「洗濯物,出しといてくださいね」

 洗濯は完全お接待,おかみさんに洗ってもらいました。さすがに干すのは自分でしましたが,・・・。

「球技が好き。いっしょに見ましょ」

 高校野球です。隣の小部屋にずっといて話しかけてきます。悪気は全くないのですが,一人になりたいと思っているわたしの気持ちは伝わりません。はっきり言えないわたしもいけないのですが,親切にされる居心地の悪さを味わいました。

 

「今日は4人,あとで来る筈なんだけど,どうしちゃったのかしら。まだ来ない」

 わたしに相談されても困るんですが,・・・そんなこと思いながら相手をしていました。

 

バイクで到着

 

 結局4人は,迫力あるエンジン音とともにバイクでやって来ました。へんろの方法はいろいろです。クルマあり,タクシーあり,大型バイクのへんろも何人か見ました。バイクでびっくりしたのは,ヘルメットの上に菅笠を着けて走っていったバイクです。いまだにどうやって装着していたのか,謎です。