8月5日(土)

—6番〜11番 板野町から鴨島町へー

お母さんのメモ   バッサリ切られが街路樹,びっしり纏わりつく蔦
お母さんのメモ   バッサリ切られが街路樹,びっしり纏わりつく蔦

 

スペインの母娘と島根の女性

 

 朝食でいっしょになったとき,晴れ上がったわたしの下まぶたを見てもらいました。スペインのお母さんは,破いた紙切れに書いたメモを渡してくれました。娘さんが「薬局に行ってこれを買うといい」と通訳してくれます。メモは「TOBRsMICINE

pousds oculsr」と書いてありました。読めないし意味も分かりませんが,気持ちをありがたくいただきました。

 医学療法士の女性は何種類かのサプリメントをカバンから取り出して「これと,これがいい」と言って渡してくれました。

 それを水といっしょに飲みました。効果は分かりませんが,気持ちだけで楽になったように感じました。

 

 娘さんはこのへんろが終わったらインドに行って働くそうです。18日間で回りたいといっていましたが,今どの辺を走っているでしょうか。

 医学療法士さんは奥之院も含めて丁寧に回っていることでしょう。焼山寺は終えられたでしょうか。 

 

6番「安楽寺」山門  7番「十楽寺」山門とそっくりなのは・・・?
6番「安楽寺」山門  7番「十楽寺」山門とそっくりなのは・・・?

「これ,いい字だね。だれの字だろう」

 

 安楽寺納経所の女性ふたりがわたしの納経帳に印を押しながらそんな会話をし出しました。

「○○さんじゃない?」

「○○さん? こんなかわいらしい字を書くかなあ」

 1巡目に書いてもらった字が話題になっています。わたしが,それを書いてもらったのは12年前だと言うと,

「やっぱり,○○さんだよ」

 ○○さんのかわいらしい字ということになりました。

 字を書いて印を押して300円はいいけど,印を押すだけで300円は高い,という八十窪のおかみさんの言葉が蘇りました。

 

8番「熊谷寺」でお経をあげる自転車へんろさん
8番「熊谷寺」でお経をあげる自転車へんろさん

8番「熊谷寺」で

 

 自転車へんろの若者と言葉を交わしました。リュックを背負って歩いていたのではじめは歩きへんろかと思いました。

「さっきは自転車をおいて山門を見に行ってきたんです」

 熊谷寺のに王さんは特徴があります。

「歩くのはたいへんですね」

「自転車も山へ行ったらたいへんでしょう。歩くよりきついところもあるよ」

 そんな程度の会話でしたが話をするとちょっと元気になるような気がします。この若者とは次の9番「法輪寺」ですれ違い,手を振ったら気づいてくれました。

 

 もうひとり,わたしより少し後で本堂までのぼってきた歩きへんろさんにも出会いました。このあと9番,10番でも出会いました。「こんにちは」と声をかけるだけでそれ以上のことはありませんでした。

 しかし,このおへんろさんとはもう少しあとで再び会うことになります。

 

田園風景

 

 8番から9番に至る道の両側にひろがる田園,ここに来るといつもこの写真を撮ってしまいます。3回ともよく晴れていて,同じぐらいの時間帯でした。北向きの写真がきれいに撮れました。

 

 法輪寺の山門前にはお椀を持ってお経をあげている托鉢僧(?)がいました。僧ではないかもしれません。でるときに見たら山門前の商店の人と親しげに話をしていました。馴染みの人なんでしょうか。

 喜捨するのをためらってしまい,そのまま通り過ぎました。

 

10番「切幡寺」本堂前          88番から来た結願おへんろさん
10番「切幡寺」本堂前          88番から来た結願おへんろさん

結願へんろさん

 

 10番切幡寺では,結願して1番へお礼参りに戻る歩きへんろさんと話が出来ました。この日の朝,八十窪の宿をたってきたそうです。わたしはその前日に八十窪に泊まっています。

「あのおばあちゃん,よくしゃべるよね」

「そうそう,ビールを飲みながらずっとしゃべってた。でも,いい人だよ」

 いい人,楽しい人でした。

 このおへんろさん,暑さ対策でいいことを教えてくれました。

「冷たい(凍った)ペットボトルを脇の下にはさむと,頭がスーッとして元気が出てくるよ」

 わたしが保冷剤をもらって首の後ろに巻いたという話をしたあとです。このあと,11番「藤井寺」前で脇の下にペットボトルをはさんでみたら効果抜群でした。いいことを聞きました。

 

ちょっと不気味なへんろ人形

 

 昼に2年前に宿泊したことのある「八幡旅館」でうどんを食べました。機会があればできるだけ温かいものを食べるようにしています。暑くてもそのほうが体にいいことが分かってきました。

 

 食べたあと少し歩いたところに休憩所があり,へんろ人形が接待してくれていました。しかしながらこれは「うれしい」という気持ちにはなりませんでした。休憩所に欲しいものの第1は日陰です。第2は,水ですね。

 

吉野川 川島潜水(沈下)橋
吉野川 川島潜水(沈下)橋

吉野川 川島潜水橋

 

 大雨で川が増水したときは沈んでしまいます。2日後の台風5号のとき,わたしはもう少し上流で,潜水しない普通の橋を渡りました(中鮎喰橋)。あのときこの潜水橋はどうなっていたんでしょうか。

 クルマ1車線分しかありません。クルマは橋上に車がいないことを確かめて進入します。いたら橋の手前で待ちます。車で通ったことはありません。ひどく狭くて,欄干も低いので慣れないと怖いんじゃないかと思います。

 上からみるとすばらしい景色でした。

 

ふじや本家旅館

 

 12年前,はじめてのへんろで泊まった宿が「ふじや本家旅館」です。3番の近くからここまでの長距離歩いてきて,6時半過ぎに何とかたどりつきました。少し暗くなりかけていたのを覚えています。11番「藤井寺」の納経は翌日になってしまいました。

 この「ふじや本家旅館」さん,数年前に旅館業を廃業して,今は駐車場だけを管理していると聞きました。

 

 

 

藤井寺納経

 

 12年前と違って今回は4時前に到着したので納経する時間は十分ありました。歩きへんろの基本は「札所に納経して泊まる」だということも分かりました。泊まったあとの札所が近くにあると朝7時まで動きが拘束されてしまいます。札所が遠くにあれば朝早くから歩くことができるわけです。

 

 本日の宿「旅館吉野」に着いたのが4時30分でした。できるだけ旅館に早く入るのも基本です。1日の後始末(洗濯,荷物の整理,記録など)と翌日の準備(歩行計画,宿の予約など)が落ち着いてできます。

 夕食で歩きへんろさんといっしょになりました。8番,9番,10番で見かけたおへんろさんでした。

「9番で声をおかけしましたよね」とわたしが言うと,

「今日は暑くて,頭がボーッとしていてよく覚えていないんですが・・・たぶん,そうです」

 東京新宿から見えた人で,初めて歩きへんろに挑戦するとのことでした。