8月14日(水) 41番龍光寺,42番仏木寺,43番明石寺

宇和島から務田へ 県道57号
宇和島から務田へ 県道57号

 

新しいへんろマーク

 

 しゃれたへんろマークを発見しました。粋なデザインです。さまざまなへんろマークがあります。どんな人が貼ってくれているのかはっきりとは知りませんが,ずいぶんたくさんの人のおかげでへんろが成り立っているというのを実感します。

 

 この日は5時に出発しました。結局200円で買ったお遍路優遇朝食券は,朝食が6:30からだったのでやむなくパスしました。

 食べずに速くでるか,食べてからでるか直前まで迷いました。この決断はどっちでもよかったのですが,このあとの出会いに決定的に影響してきます。何か不思議な感じがします。

務田駅付近から龍光寺方向をのぞむ
務田駅付近から龍光寺方向をのぞむ

だらだらの続く上り坂

 

 宇和島市街から41番「龍光寺」のある三間町まで延々と上り坂が続きます。ダラダラ坂で急座かではありませんが,およそ6kmぐらい2時間弱,延々と続きます。今回は早朝で涼しく日陰もたっぷりあったので元気に歩けましたが,昼過ぎから歩いてくたばってしまった前回の記憶がまざまざと蘇ってきました。

 

41番 龍光寺
41番 龍光寺

 5年前の龍光寺と仏木寺は青息吐息の行脚でした。そのときは自身の体調のせいだろうと思っていましたが,健康体でもこの長く続く坂を熱射のなか歩くのはたいへんだと思います。ここは昼過ぎには歩いてはいけないルートです。

 

41番「龍光寺」

 

 龍光寺門前に着いたのは7時半,ずっと日陰を歩いてきたので逆に肌寒くなってしまいました。日だまりに座り,前日に買ったパンとピーナッツを食べると元気が出てきました。

自転車へんろの女性 龍光寺参道
自転車へんろの女性 龍光寺参道

 龍光寺参りを終えて参道を下っていくと,上ってくる自転車へんろの女性とすれ違いました。このときは,

「こんにちは」

 と,あいさつを交わしただけですが,このあとこの女性とも縁が生まれます。今回のへんろは自転車のへんろさんたちと深い縁が築けました。

龍光寺から仏木寺へ
龍光寺から仏木寺へ

 

田園風景のなかに高速道路が

 

 龍光寺から次の札所仏木寺までは3kmとわずかな距離しかありません。田園が広がるのどかな風景が続き,その中にポツンと仏木寺はあります。お遍路さん以外は余所者がいないような純然たる田舎です。

 その田舎中の田舎の真ん中,右から左へとまっすぐに高速道路が景色を貫いていました。田舎を貫く高速道路,最近愛知県でもあちこちで見られるようになりました。三河の山に行くと何回も建設中の高速道路を目にします。田舎に高速道路,見慣れたせいかさほど違和感がなくなりましたが,本来は異質のもの同士のような気がします。

42番 仏木寺
42番 仏木寺

仏木寺の鐘付堂で

 

 熱中症かもしれないと思った前回の5年前,何倍も何倍も水をかぶり,鐘付堂で横になっていました。それでも体が回復しません。ほうほうの体でほんの近くの民宿「とうべや」にたどりついたことをまざまざと思い出しました。

 あのとき水をかぶった水道はどこにあるのだろう,お構いなしに横になっていて,ほかの参拝客に迷惑だっただろう,と,いろいろな思いが湧き上がってきました。

仏木寺にて
仏木寺にて

 今回は元気です。

 

鐘付にやってきたのは

 

 龍光寺ですれ違った自転車の女性です。あんなにたくさんの荷物を背負って,と龍光寺前でも思いましたが,そのまんまの荷物でした。何が入っているんだろうと興味津々,へんろの鉄則,荷物の軽減の逆をいっています。できれば,歩くたびに荷物が減る,わたしのリュックのなかを講義したい気持ちにもなりました。

 でも,大きな荷物を背負ったまま,梵鐘の前で祈る彼女に言葉にできない純粋なものも感じました。

仏木寺にて
仏木寺にて

 

何と,3回目の出会い

 

 こんなにびっくりしたことはありません。2日前に仏木寺に到着しているはずの自転車夫婦が目の前にいました。

 39番「延光寺」で初めて会い,翌日40番「観自在寺」で再開し,話し込んだ夫婦です。その日に仏木寺に行くといっていたから,もうとっくに先の先に行っているはずの二人でした。観自在寺から距離にして50数キロ,わたしにすれば2日間の行程です。こんなところで再会,いや再々会できるとは夢にも思いませんでした。

歯長トンネルへ
歯長トンネルへ

 先の先に行っているはずの二人がどうしてこんなところに,そのわけは,奥さんが話してくれました。

「この人が,突然趙子悪くなっちゃいまして,一日中宿に缶詰だったんです」

 どこの宿に投宿したか詳しくは聞きませんでしたが,わたしが宇和島目指してひたすら歩いているとき,一日中突然の病で苦しんでいたのでしょう。

歯長峠へんろ道
歯長峠へんろ道

 そんなことがなければ,三度わたしと会うことはありませんでした。いや,元気にならなければここに来ることもままならなかったわけで,そんな微妙な変転も運命づけられているような気がしました。

 さらに,わたしの方だって偶然でした。もしも,わたしがリージェントホテルの出発を遅らせて,200円の朝食をとってから出かけていれば決して会うことはありませんでした。

 そんなもろもろの偶然が重なって再々会できたことに,不思議な縁を感じます。

明石寺参道にて
明石寺参道にて

 

不思議な縁

 

 不思議な縁は,龍光寺であった女性へんろにも感じました。彼女と初めてあったのは龍光寺,2回目に次の札所,仏木寺で会って話ができました。

「さっき,龍光寺であいさつしましたよ」

「えっ,そうでした?」

「大きな荷物背負って,どうして自転車にくくりつけないのか,と思いましたよ」

「腰ベルトで支えているから,大丈夫・・・」

「明石寺までのルートは,自転車ではたいへんでしょう」

「ええ,今,ちょっと気が萎えています」

 自転車も急坂が続くとたいへんです。

 

 この女性とももうこれっきりと思っていましたが,43番「明石寺」で再会しました。

明石寺駐車場にて
明石寺駐車場にて

 

明石寺で再々会した女性

 

 大きな荷物を背負った女性自転車へんろさんとは3回目の出会いでした。彼女とは明石寺でいくらか突っ込んだ話できました。横浜の女性で,2日前か宿毛からへんろをスターとしているとのことでした。

 実家が大阪で,大分に帰るご主人に宿毛まで送ってもらっておっくってもらってへんろをしているとのことでした。

 どうしてそんなにたくさんの荷物があるのか,聞いてみました。

「着替えが2日分,その他いろいろ,です」

 結局女性は着替えでしょうか。

 

 言葉は交わしませんでしたが,明石寺のレストハウスにいた男性は,バイクに乗って次の札所に向かいました。わたしも歩くのができなくなったら,バイクやクルマで回ってみてもいいかな,そんなことを思いました。

国道56号線 卯之町駅前
国道56号線 卯之町駅前

 

びっくり

 

 縁というのもは不思議なものです。どうしてあそこで会ったのだろう,また,あそこで会ったから,次に深い縁を結ぶとはまた限りません。偶然というのは不可思議なものです。

 明石寺で別れた自転車の彼女,もう永遠に会うことはないと思っていました。が,何と,卯之町駅から国道に向かう道を歩いていたら偶然見かけました。一瞬に近い短い時間で,そのときの感動は今でもうまく言葉にできません。

 東から西に国道を走る彼女を,南から北に県道を歩くわたしが捉えるのはほんの一瞬しかなかったはずです。その一瞬を見事に捉えました。しかも,声の届かない距離でしたが,わたしが手を振ると,彼女は振り向いて手を振ってくれました。

 あんな距離で,どうして声が届いたのでしょう。また,声は届かなかったとしたら,いったい何が届いたのでしょう。

 急いで国道に出て,カメラに後ろ姿を収めましたが,おそらく彼女の姿を見るのはこれが最後でしょう。本当に不思議です。

宇和パークホテル
宇和パークホテル

 

宇和パークホテル

 

 まず,立派な建物でびっくりしました。素泊まり4,000円でした。ホテルとしては値打ちな上,+1,000円で夕食バイキングが付いていました。

 腹いっぱい夕食をとって5,000円,その上風呂も広くて快適でした。合計5,000円であの待遇は上出来だと思いました。