8月17日(水)

県道25号,日和佐へ
県道25号,日和佐へ

同行二人 

 わたしにとっては今回の最後,23番「薬王寺」までの20㎞。 GさんHさんとほぼ同じ時間に歩くことになった。 歩くペースによって前後が代わったり,三人同じところで休憩したりと,話す機会も何回かあった。 しかし,お遍路さんみんなに共通していることだがだれかといっしょに歩くということはない。 自然と離れ,それぞれがひとり(つまり御大師様と二人)になってしまうのである。 
 この気持ちはことばではうまく説明できない。 

日和佐の海岸
日和佐の海岸

 

わたしの布施 

 わたしにとって今回最後となる23番「薬王寺」までの20㎞も余すところ4㎞ほどになった。 最後のルート確認をしようと,道端にあったベンチに座り,地図を広げた。 ついでに休憩をと,いつものように素足になって水を飲んだ。 海からの風が心地よかったし,あとわずかと思うと心がすうっと楽になった。 
 休憩後足取りも軽く,ちょっと登りの国道だったが調子よく足を進めた。 途中で朝早く出発したJさんに追いついた。Jさんは足の運びが思うようにいかないようだ。 
「足首を痛めてしまって,リズムよく歩けないんですよ。」苦しそうにそう教えてくれた。 
 Jさんを追い越してすぐ,急にいやな予感(確信に近かった)がわたしを襲った。 
(地図は? 地図はどうしたんだ。白衣の前ポケットにあるはずの地図がない。 バッグに入れた覚えはない。えぇっ! まさか!) この予感はすぐ確信になった。 
 しかし,あるはずはないと確信していても止まってバッグを確かめずにはいられなかった。 当然,ない。今回のへんろでの最大の失態だった。 そして最大のショックだった。地図には今日まで歩いた思いでもこもっている。 これはわたしの布施なんだろうか。 
 そういう縁だったんだろう。あの地図はわたしのために今日までしっかり働いてくれた。 今日からはわたしのためではなく別の役割が与えられているのかもしれない。 

23番「薬王寺」美波町
23番「薬王寺」美波町

 

まだ,歩いているへんろさんたち,がんばって! 

 室戸まで行って帰るといっていたGさん,どこかでスケボーで遊べるところがありましたか?  あなたが道々,お地蔵様やお墓を見つけるとそのたびに手を合わせている姿には感動しました。 
 通し打ちをすると言っていたHさん,無理をしないで頑張ってください。 23番への道での健脚ぶりにはびっくりしました。 
 2週間で高知まで行きたいといっていたAさん,一日休養日を作ると言っていました。 今どこにいるのかなぁ。 
 わたしと同じで今回は23番までと言っていたBさん, わたしはちょっとだけ先を歩くことになってしまったけれど,きっとすぐそこまできているだろうな。 あまりタバコを吸わないようにね。