8月10日(木)

トンネルを抜けると高知県東洋町へ
トンネルを抜けると高知県東洋町へ

すごいぞ太平洋 

 国道55号線をひたすら南下。 雲がない,風がない,自販機もコンビニもない。 あるのは国道を挟んで,右手に山,左手に太平洋。 太平洋は,すごい。場所によっては前に太平洋。 視線を右に移していって真横ももちろん太平洋。 そして真後ろまで回してもまだ太平洋。何度も何度も「すごいぞ太平洋。」とつぶやいた。(でも,3日目には,「いい加減にしろ,太平洋。」に変わっていた。) 

ロッジおざき 室戸市佐喜浜町
ロッジおざき 室戸市佐喜浜町

 

やっぱり返送 

 海南駅前のクロネコヤマトで約2kgの荷物を返送した。 余分だった物,3傑は,ドライヤー,折りたたみ傘,石けん。考えてみれば石けんなんて,どこの宿にもあるに決まっているじゃないか,ね。 8kgのにもつが,6kgに減っただけではなく,かさも小さくなり,ずいぶん軽く感じるようになった。 収納の仕方が大事なんだと,改めて実感した。 
 
さわやかな高校生
 

 すれ違う自転車の高校生が「おはようございます。」と元気よくあいさつしていく。 今時の高校生としては珍しい。自然に純朴なのではなく,この学校の教育の成果なんだろうな。 ”教育”とはこういうものかもしれない。その方向がよかろうが,間違っていようが,意図的にある方向に導いていくのが”教育”だとすれば,これは教育なのだろう。 とりあえず,その成果に敬服。 
 
へんろはきらい?
 

 ひたすら歩いた。 20km歩いて,昼。 「み○○お」という喫茶レストランに入った。 なんと冷房が入っていなかった。 5時間近くもそれを求めて歩いてきたのに,求める冷風がない,という大きな落胆。 我慢ができずに,上半身裸になって体を冷やしていた。 
 「お客さん,暑いのならエアコン入れますので,服を着てください。」女主人らしき,美しい女性がせかせかと歩きながら声をかけてきた。 裸になった私,確かに行儀が悪かった。 だから,ごめんなさい,と心の中で何度も謝った。 でも,この女性の言い方はきつかったなぁ。 冷たい視線が私の体を貫いた。 
 この人はへんろが嫌いなのかもしれない。 わたしたちへんろを否定的に見ている人が結構いるんだろうな。 へんろなんて,考えてみれば,仕事をしていない遊び人と一緒なんだから,一生懸命仕事をしなければならない人,金も暇もない人から見れば,「このぜいたく者!」ぐらいにした写らないかもしれない。 
 「み○し○」は電話で宿泊の予約を断られていた。” へんろ”だから断られたのかもしれない。 サーファーや海水浴客と思われる人たちが,宿泊しているようだ。 
 
写真撮るの,うまいんだよ
 

 東洋大師の住職(だと思う),ちょっとごっついかんじの親父さんだったが,話してみると感じのいい人だった。 
「写真を撮っていただけませんか。」 
「ああいいよ。どれ,押すの。」 
「赤いの,お願いします。」 
「どう?見てよ。写真撮るのうまいんだよ。・・・・・・・・・,ちゃんと真ん中に入っているでしょ。」 
 桃を接待していただいた。冷たくて,甘くて,大きくて,この世でいちばんおいしい桃だった。実は,この寺にも電話して宿泊を申し込み,断られていた。 
「生見に民宿がいくつかあるから,そっちで聞いてみれば…。」その言葉にはちょっと不快を感じたが,今思えばこれは親切心だったんだな。人の心は難しい。 
 
ずいぶんありますよ
 

 佐喜浜の手前でバテバテ。地図上ではまだ5,6kmある。 日差しも暑さも最高で,ズボンは腰から膝まで汗でぐしょぐしょ。 股ずれ症状も出てきた。あせも体質なので危惧していたことの一つなのだが,あせも用のクリームを持ってこなかったことを心から後悔した。 足もまめができはじめ,痛みが増してきていた。 
 コンビニでウィスキーと週刊誌を買い,宿に電話をした。 
「そこからなら,3km弱です。」この言葉で,どれだけ励まされたことか。でも,その3kmは未だかつてなく遠かったが。海南駅前でこの宿を予約するときにいわれた言葉がよみがえってきた。 
「そこからだと,ずいぶんありますよ。」 
 
40km歩いた
 

 午前中に20km,午後に20km歩いた。 一日に40km歩いたのは初めて。ここが限界だな,今のところ。 特に午後の20kmがつらい。 
 宿に着いたのが,6時過ぎ。そのせいで洗濯が順番待ちで,なかなかゆっくりできなかった。 やっぱり宿には早く入れるようにしないといけないな。 すべてが後手後手に回ってしまう。