8月14日(火) 37番「岩本寺」

 

朝から雨,雷

 

 雷鳴とともに目覚めました。朝から雷,そして雨です。2回目のレインポンチョ登場になることは必至でした。

 天候が良ければ大坂遍路道を行こうと思っていました。少々の雨でも行こうと思いました。

 しかし,今日のこれは「悪天候」,山道はあきらめて国道を行くことにしました。

 へんろ地図にも「滝の流水で通行不能の場合がある」とあります。結果論ですが,七子峠に到着したときは土砂降りでした。前回回ったときも悪天候で,国道を歩きました。ここの山道には縁がないようです。

 

レインポンチョ

 

 七子峠の手前で本降りになり,峠に着いたときは土砂降りになりました。雨もしっかり降ってくれると気温が下がり,ポンチョを着ていても暑くありません。足下以外は結構快適です。

 しかし,中途半端に小雨だと,気温が高く,湿気もあり,密閉されたポンチョの中が蒸れ蒸れになってしまいます。前をまくり,袖もまくり上げて風を通します。いくらかは蒸し暑さが和らぎますが,快適にはなりません。

「降るならしっかり降ってくれ」

 誰かにそう叫びたい心境になります。

お雪椿休憩所

 

 雨があがったところにきれいな休憩所がありました。わかりやすいガイドマップもあり,たいへん助かりました。特に,この先の足摺岬や宿毛,宇和島の位置関係がよく分かりました。へんろみち保存協会の地図ではそこのところがよく分かりませんでした。 

 

 

窪川で打ち止め

 

 でも,今回足摺に行くのはやめました。このまま歩き続けたらいよいよ左足がこらえきれなくなってしまいます。それに足摺まで足を伸ばしたら,打ち戻って宿毛まで行かないと鉄道がありません。

 帰るにも,次回再び来るのにもたいへん難儀をすることになってしまいます。

 昨日まで迷っていましたが,すっぱりあきらめました。今回は窪川の37番「岩本寺」で打ち止めに決めました。

 

へんろをなめていた

 

 左足の状態が確実に悪くなっています。状態を正確に把握できませんが,次の日に持ち越してしまうというのは看過できないことです。

 単なる疲れは一晩眠ればよい状態に回復します。しかし,回復しないこの痛みは何らかの故障と考えざるをえません。

 この故障は,2日目,3日目の無理から来ているのでしょう。何よりもまずかったのは,休憩時間をしっかりとらなかったことです。

 少々無理をして歩いても,1時間に一回しっかり休憩すれば故障はなかったような気がします。

 そう思うと,通しでへんろするということは本当に難しいことです。こうした故障も,あるいは事故もすべて受け入れていかなければなりません。

 私は今日で打ち止めにすることに決めましたが,このあと続けなければならないとすると,まず足の故障を治すところからはじめなければなりません。今の私にはとてもできないことのように思えます。

 

般若心経

 

 今回の遍路最後の札所になりました。高知の札所は距離があるので,お参りすることより歩くことの方が中心になってしまいがちです。休むことも自然に少なくなってしまい,無理をして先へ先へ歩いてしまいます。それが失敗の大きな要因です。6年前に回ったときも同じように歩きすぎてしまいました。なかなか失敗が生きません。

 でも今日は久しぶりのお参り,般若心経を気合いを入れて読経しました。気持ちのいい声が出て,自分としてもたいへん満足しました。

 

お守り

 

 毎回打ち止めのお寺で記念になるものを買うことにしています。宿坊の売店に行って探しました。自分用に般若心経が書かれたストラップを買いました。家でイヌを飼っていて,主に妻が面倒をみているので,妻にはイヌと飼い主用のお守り,また,娘がネコを飼っているので,ネコと飼い主用のお守りを買いました。

 動物のお守りをはじめて見たので,この買い物には満足しています。 

 

窪川駅

 

 歩き遍路は窪川駅で区切りです。白装束を脱いでポロシャツに着替え,気持ちを切り替えました。

 14:01発の特急列車「南風」岡山行きの切符を購入しました。岡山駅に着くのは5時41分でした。

「のぞみの指定席が満席でとれません。ひかりならとれますが」

 駅員さんに言われて,ひかりでもかまわない旨を告げると,

「18:18になってしまいますが,それでもいいですか?」

 とっさに計算できませんでしたが,冷静になれば,たった37分の待ち時間です。これを長いと感じるのが普通の日本人なんでしょう。特に1分1秒を争わなければならない企業戦士には大事(おおごと)なんだと思います。

「結構です。そのひかりで,お願いします」

 名古屋駅到着予定が20:33でした。

 

 

土佐久礼から窪川まで歩いて6時間,特急列車では10分

 

 14:01発の特急列車「南風」に乗車してまもなく車内アナウンスがありました。

「・・・3分ほど遅れましたことをお詫び申し上げます。なお,この列車の停車駅は,土佐久礼,須崎,・・・です。土佐久礼までは10分少々で参ります」

 土佐久礼は今朝目覚めたところです。私はそこを6時40分に出発して窪川まで歩いてきました。窪川に着いたのが12時45分,およそ6時間の旅でした。南風はその6時間を「10分少々」でカバーしてしまうようです。

 特急列車は,速い。