北条水軍ユースホステル
夕食も朝食も手作り感いっぱいの料理でした。夕食でいっしょに食事したのは,オーストリアの高校生のほかに,仕事できている3人の男性がいました。食堂はその5人でいっぱいでした。
ご主人は,台風が来なければリトルリーグの合宿が入っていて,20人泊まる予定だったといわれましたが,20人もどうやって泊まるんだろうと不思議に思いました。
犬の散歩
台風が高知に上陸したのが6時ぐらいだったと思います。8時に出発することにしました。再接近から2時間以上たっていることになります。さすがにもう大丈夫だろうと判断しました。
それまで降っていた雨もちょうど止みました。ゴールデンレドリバーも安心したように外に出てきました。風はまだ吹いていましたが,前日に比べたらずいぶん穏やかになりました。やっぱり台風は,来る前が怖いようです。
横峰登山
60番「横峰寺」は標高745mの山頂にあります。その登山ルートは2つ,打ち越しルート(上り湯浪経由,下りは白滝奥之院経由)と打ち戻りルート(白滝奥之院往復)があります。
実は,打ち戻りルートを洗濯する人は,「ビジネス旅館小松」に2泊し手荷物を預かってもらうようです。そのことを,ユースホステルのご主人が教えてくれました。
前回わたしは打ち越しルートを選び,荷物を持って上がり持って下りました。そのときの下りで荷物を持たない外国人の女性とすれ違いました。こっちから上る人もいるんだと,そのときはそう思っただけでした。
「旅館もってあがらなくてもいいから,往復ルートの方がずっと楽だよ」
ご主人はそう言いました。
でも,前回下りたルートは,下りとはいえたいへんきついルートだったことを思い出します。あれを上って,下りるのが「楽なルート」といえるのだろうか,わたしにはすんなりそうは思えませんでした。
脳内麻薬
膝が少しよくなってきました。横峰に上れるかどうかは今日・明日の調子にかかっています。平坦な道ならほとんど痛みを感じずに歩けるようになりました。今日は今治までほとんど平坦なルートなので問題なく歩けそうです。
脳内麻薬のβ-エンドルフィンには鎮痛作用があるそうです(もどってから調べました)。歩いていると歩き始めに感じていた痛みを20〜30分もすると感じなくなります。これは正に脳内麻薬の作用に違いありません。
膝も痛みを感じなくなります。マメができはじめましたが,マメの痛みも消えてなくなります。これはいいことか悪いことか分かりませんが,人間の体というものは複雑な成り立ちをしているものです。
現金なものです
膝の痛みがなくなってきたと思ったら気分がよくなってきて,雨が降っても苦にならなくなってきました。現金なものです。気持ちよく雨に打たれながら歩きました。
バイクおじさんのお接待
延々と続く海岸道路,雨も風も優しくなり,歩くのが気持ちよくなってきました。調子よく歩いていると,前方からバイクが走ってきて止まりました。
「これ,よかったら」
そう言って,おじさんがレジ袋を差し出します。
「温かいの,飲んでください」
何だか恥ずかしそうにそう言ったかと思うと,さっとバイクで走り去ってしまいました。
五分ぐらい前。
バイクを止めて,対向車線からわたしの方をじっと見ているおじさんがいました。そのときは何のアクションもなくすれ違いました。今のお接待はそのときのおじさんでした。
おじさんは,わたしとすれ違うとUターンしてわたしを追い越し,ジュースとお茶を買って待っていたのです。
迷って躊躇したのかもしれません。迷ってやり過ごしてしまったことを後悔したのかもしれません。そしてもう一度やり直したのでしょう。その気持ちの温かさに加えて,「温かい飲み物」という心遣いに,さらに深い心遣いを感じました。
星の浦海浜公園
太陽石油をすぎて星の浦海浜公園に至ると青空がでてきました。歩き始めて約20km,午後1時になろうとしていました。海浜公園はたいへんきれいな景色のところです。
膝に痛み
それまで調子がよかった膝に痛みが走りました。54番「延命寺」の階段です。疲れてくるとちょっとのことでも膝が耐えられなくなるようです。小山の上にある大師堂に行くのがいっぱいいっぱいでした。
さらに下りるときは左膝で支えられないので,片脚ずつ下りるしかありませんでした。
たまたまか
延命寺を出るときに道を間違えそうになりました。あのまま何ごともなかったらそのまま門前まで下りてしまったに違いありません。
危うく気が付くことができたのは,空のペットボトルを捨てるのを忘れたからです。自販機の方を振り返って,数mもどると,へんろマークの矢印がそっちの方を指しているのに気が付きました。正に,このアクションがなかったらへんろ矢印に気が付くことがなく,道を間違えてしまったわけです。
これはたまたまだったのか,何でも結びつけるのはよくないのでしょうが,お大師様のお導きだったのか。
名前を書いとかないかんよ
55番「南光坊」の納経所で納経帳の名前を書いていただきました。南光坊は今治市の中心にあり,市役所はすぐ近くです。へんろ道からは外れているので,前回は見なかった市役所を見てびっくりしました。
造船とタオルの町
どでかいスクリューが目を惹きます。そう言えば,歩いていると「造船とタオルの町」という看板を目にしました。それにしてもでかいスクリュー,実際に見るとずいぶんインパクトがあります。
今回の宿は,へんろ道から外れて港の方に約500mのところにあったので,市役所を見ることができました。
宿の「ビジネス旅館笑福」さんからは,南光坊まで迎えが可能と聞いていましたが,遠いところではないので自分で歩くことにしました。すぐ近くが港だったので,ついでに見に行きました。瀬戸内しまなみ海道の橋が見えました。
忘れ物
宿でいつものことをしていて,大事な忘れ物をしてしまったことに気が付きました。携帯電話の充電器です。どこを探してもありません。忘れてきたのは,松山ユースホステルです。
今回のへんろは,無くしたもの,壊れた物がいくつかありました。
実は,いちばんに無くしたものは「数珠」,たぶん最初の札所,44番「大宝寺」で無くしました。それ以降使っていません。壊したものは,まずは携帯電話のストラップ,気に入っていたものだったのでちょっとがっかりでした。2つめは,ウェストバッグの小物入れのチャックです。カメラを入れていました。安全ピンで応急処置をして,そのまま使い続けました。
そして,携帯の充電器です。しかたがないので,翌日コンビニで探すことにしました。
ところが,次の日は,もっと大事なものを無くしてしまいます。
本日の歩行距離 28.1km